コラム 税・社会保障改革 連載コラム「税の交差点」第59回:平成の税制を振り返る(その1) April 23, 2019 税 年金 税の交差点 4月18日、東京財団政策研究所と日経新聞の共催の下でシンポジウムが行われた。平成の税制や財政を概観し、「令和」の時代に伝えるべき課題を抜き出すという試みである。シンポジウムの概要は追って研究所からお伝えするが、本稿では筆者の報告、問題意識を記してみたい。 税制の機能は、財源の調達、所得再分配、経済安定の3つである。平成の税制をこの観点からみてみると、次のような特色が浮かび上がる。 第1に、最も重要な機能である財源調達機能は確実に低下してきたということである。それを象徴的に表しているのが図表1で、赤線は歳出の推移、青線は一般会計税収の推移、真ん中の黄色い線はGDPの推移である。この図の中では、赤字国債発行のなかった平成元年に、税収とGDPの高さが一致