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ブックマーク / davitrice.hatenadiary.jp (96)

  • 道徳の問題は科学的に、定量的に考えなければいけない理由 - 道徳的動物日記

    〈効果的な利他主義〉宣言! ――慈善活動への科学的アプローチ 作者:ウィリアム・マッカスキル 発売日: 2018/11/02 メディア: 単行 ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットが実践していることでも有名な「効果的な利他主義」について書かれた。パート1では「効果的な利他主義」の考え方について、パート2では具体的な実践方法について書かれている。 「効果的な利他主義」を提唱している哲学者のなかではピーター・シンガーが最も大御所であるだろうが、シンガーにせよこのの著者であるウィリアム・マッカスキルにせよ、功利主義者である。そして、「同じ金額を寄付するなら、同じ時間だけ慈善行為に関わろうと思うなら、その金額や時間で最大の効果が与えられる対象に寄付したり関わったりせよ」という効果的な利他主義の考え方は、行為の「結果」を強調するという点にせよ結果の「量」を強調するという点にせよ、功利主義にかな

    道徳の問題は科学的に、定量的に考えなければいけない理由 - 道徳的動物日記
  • イデオロギーは社会学の知見をいかに妨げたか by クリス・マーティン - 道徳的動物日記

    社会学者クリス・マーティンの論文「イデオロギーは社会学の知見をいかに妨げたか」の、著者人による要約である。 原文はこちら。参考文献は省略している。 How Ideology Has Hindered Sociological Insight, summarized | HeterodoxAcademy.org イデオロギーは社会学の知見をいかに妨げたか by クリス・マーティン 今年、私は社会学がイデオロギー的同質性のために直面している問題について論文を発表した。論文はアメリカン・ソシオロジスト紙でも読めるし、無料でダウンロードもできる。*1以下は、論文で私が論じたことについての要約である。 まず、人々がイデオロギーを持つのは、人々がそれぞれに特定の種類の道徳的危害に懸念を抱いているからである。 「イデオロギー」という言葉の完全な定義は存在しないものの、イデオロギーの典型とは、特定の価値

    イデオロギーは社会学の知見をいかに妨げたか by クリス・マーティン - 道徳的動物日記
    maturi
    maturi 2021/02/02
    ”保守は権威を尊重しているのであり、彼らの現状維持への尊重は先行世代が作った社会規範への尊重から派生しているのであり、現状維持そのものへの尊重ではない可能性が高い
  • 男性と女性は対立していない - 道徳的動物日記

    Is There Anything Good About Men?: How Cultures Flourish by Exploiting Men (English Edition) 作者:Baumeister, Roy F. 発売日: 2010/08/12 メディア: Kindle版 昨日からロイ・バウマイスターの『Is There Anything Good About Men? :How Cultures Flourish by Exploiting Men(男にいいところはあるのか?:文化はいかに男性を搾取して繁栄するか)』を読みはじめた。 まだ読んでいる途中なので詳しくは紹介できないが、このは、ジェンダーの問題について進化心理学や文化進化論的な考え方から論じたものである。男性と女性との間にはリスク追求的-リスク回避的であったりシステム思考的-共感的であったりなどの志向や傾向の

    男性と女性は対立していない - 道徳的動物日記
  • 有徳に生きることと、幸福に生きることの関係 - 道徳的動物日記

    徳は知なり: 幸福に生きるための倫理学 作者:ジュリア・アナス 発売日: 2019/03/25 メディア: 単行 ジュリア・アナスの『徳は知なり:幸福に生きるための倫理学』については過去にも紹介記事を書いているが、今回は、徳と幸福について論じられている八章と九章の議論を集中的に紹介しよう。 このの八章では、古代ギリシャにおける「幸福(エウダイモニア)」の概念について説明が行われている。 アナスによると、エウダイモニックな幸福に関する思考とは、人生についての「日常的な視点」と「組織的な視点」を包括することから始まる。 普段のわたしたちは、自分がする行為の意味を「朝に起きるのは、仕事に行くためだ」といったように、直線的な時系列で単純に考える。しかし、「そもそも、なぜわたしは仕事をしているのだろう?」と深く考えるときもある。その問いは、「仕事をしている理由はよいキャリアを得たいからだ、よいキ

    有徳に生きることと、幸福に生きることの関係 - 道徳的動物日記
  • 左派の思想と自己啓発が相反する理由(読書メモ:『生き抜くための12のルール:人生というカオスの解毒剤』) - 道徳的動物日記

    人生というカオスのための解毒剤 生き抜くための12のルール 作者:ジョーダン・ピーターソン 発売日: 2020/07/07 メディア: Kindle海外では大ベストセラーになったであり、日でも熱心に薦める人が何人かいたので、ほしいものリストから送ってもらった。 しかし、結論から言うと、かなり期待はずれ。 著者のジョーダン・ピーターソンは心理学者で、前著の Maps of Meaning: The Architecture of Belief は神話や宗教に関する著作であるようだ。 そして、「インテレクチュアル・ダーク・ウェブ」で「反ポリコレ」な論客としても有名である*1。 『生き抜くための12のルール』はタイトル通りの自己啓発書であり、ポリコレとか政治とかが直接的には関わらないが、後述するように、そこで書かれている人生指南の内容は左派的な思想とは相反するものだ。 そして、ビジネス書

    左派の思想と自己啓発が相反する理由(読書メモ:『生き抜くための12のルール:人生というカオスの解毒剤』) - 道徳的動物日記
    maturi
    maturi 2021/01/12
    左派の思想は他責を推奨するために、人から活力やモチベーションを奪ってしまう。結局のところ、自己責任論を信じて「自分の人生は自分で舵を取るべきだ」と思っている人の方が、成功に向かって努力する意志を持ち続
  • 労働から逃避したところで幸せになれるの?(読書メモ:『隠された奴隷制』) - 道徳的動物日記

    隠された奴隷制 (集英社新書) 作者:植村邦彦 発売日: 2019/08/23 メディア: Kindleのタイトルはマルクスの『資論』に出てくるキーワードであり、このの内容もマルクス主義的なものだ。 第一章〜第三章では、ロックやモンテスキューからはじまってアダム・スミスやヴォルテールやヘーゲルなどの哲学者たちが「奴隷制(黒人奴隷制)」についてどんなことを言っていたか、というあらましが紹介される。そして、第四章では、マルクスの書いた「隠された奴隷制」とは何を意味していたのか、という詳細が明らかにされる。 第五章や第六章では現代社会の労働や資主義について話が移る。このの結論としては、一見すると自由で自発的に生きている現代の賃労働者たちが働く環境も、けっきょくは「隠された奴隷制」であるに過ぎない、というものだ。 個人的な感想としては、第四章までには思想史的な面白さがあった一方で、第

    maturi
    maturi 2021/01/12
    アダムスミスの奴隷観察分析さすがだな。”財産を取得できない人は、()できるだけ少なく労働すること以外に、利害関心をもちえない。()以上の仕事は、暴力によって彼からしぼりとることしかできないのであって、彼”
  • 読書メモ:『<効果的な利他主義>宣言!:慈善活動への科学的アプローチ』 - 道徳的動物日記

    〈効果的な利他主義〉宣言! ――慈善活動への科学的アプローチ 作者:ウィリアム・マッカスキル 発売日: 2018/11/02 メディア: 単行 このについてはこちらの記事でも紹介した。 davitrice.hatenadiary.jp また、「効果的な利他主義」の考え方そのものについては、今後に某社から公開される原稿でも取り上げる予定なので、こっちでは取り上げない。 もちろん、効果的な利他主義には賛否両論がある。 …(中略)…また、効果的な利他主義は貧困の根原因(教育の不足、政府の腐敗、圧政、戦争など)ではなく貧困の症状(健康障害など)に着目しすぎているという批判もある。彼らは貧困の根原因に対処するには制度的な変革が必要だと主張している。 …(中略)… 貧困の根原因に目を向けるべきだという意見に関しては、貧困の根原因などわからない、というのが私の答えだ。20世紀、韓国台湾など

    読書メモ:『<効果的な利他主義>宣言!:慈善活動への科学的アプローチ』 - 道徳的動物日記
    maturi
    maturi 2021/01/12
    哲学倫理学と経済学の組み合わせ
  • 幸福には「仕事」が欠かせない理由 - 道徳的動物日記

    しあわせ仮説 作者:ジョナサン・ハイト 発売日: 2011/07/06 メディア: 単行 『しあわせ仮説:古代の知恵と現代科学の知恵』の第10章から、仕事(労働)に関する議論を紹介しよう。 カール・マルクスによる資主義批判は、産業革命が、職人と生産物とのあいだの歴史的な関係性を壊してしまったというもっともな主張に基づいている。組み立てラインは人を巨大な機械の歯車へと貶め、機械は労働者の効力感に対する欲求など気にかけなかった。その後の労働満足度に関する研究は、マルクスの批判を支持しているが、微妙な追加がある。1964年に社会学者のメルヴィン・コーンとカーミ・スクーラーが3100名のアメリカ人男性の職業について調査し、「職業的な自己主導性」と名づけたものが、職業の満足度の高さを知るためのキーとなっていることを見出した。複雑度が低く、ルーチン性の高い仕事に従事し、きっちりと管理されている人は

    幸福には「仕事」が欠かせない理由 - 道徳的動物日記
    maturi
    maturi 2021/01/11
    医療介護の分野でも、カネ儲けるために正義に反して上司(やその他)に〇〇させられる、ということはそこそこありそう(インコヒーレンス)|それはそれとして、体型(システム)は体系(システム)では
  • 『ワンダーウーマン』とイスラエル云々についての雑感 - 道徳的動物日記

    news.yahoo.co.jp ちょうど先日『ワンダーウーマン』を見に行ったばかりなので、この記事について思うところを簡単に書いておこう。 ・読んでまず疑問に思うのが、この記事では「『ワンダーウーマン』の主演女優であるガル・ガドットは親イスラエルでイスラエルの軍事行動も支持している」ということや「ガル・ガドットが活躍することでソフトパワーとして機能してイスラエルのイメージが良くなる、ということを期待する論調がイスラエルの新聞に書かれている」ということは書かれていても、映画の『ワンダーウーマン』そのものがイスラエルを支持しているとか何らかのイデオロギーを伝えているとかいうことは書かれていない。とすると「暗黒面」とされているものはあくまで主演女優のガル・ガドットのものであって、映画『ワンダーウーマン』自体に暗黒面が存在するかと言わんばかりのタイトルはミスリーディングな気がする。 実際、第一次

    『ワンダーウーマン』とイスラエル云々についての雑感 - 道徳的動物日記
  • 「男性のつらさ」論についての雑感 - 道徳的動物日記

    前回の記事の続き…と言いたいところだが、大したことが書けそうにないので箇条書きで。 ●議論が盛り上がるきっかけとなった「男性のつらさの構造」記事では、男性のつらさの原因の一つを「女性の高望み」と分析していた。そして、それに対する解決策の一つとして「女性の意識改革」を主張したために、あちこちから批判されることになってしまった。 しかし、いわゆる「女性の上方婚」志向が存在して、それが男性にとっての経済力獲得プレッシャーやそれに伴うストレスや孤立の原因となっていることは、事実だと私も思う。進化心理学や経済学、あるいはジャーナリズムや文学など様々なジャンルのメディアにおいて、「女性の上方婚」の存在の実証やその原因の解説、具体例などを見つけることができる。普通に生きていて友人や知人や見知らぬ人々の会話をしていたり、SNSにおける人々の書き込みを見ていても、「女性の上方婚」志向の存在は感じられるものだ

    「男性のつらさ」論についての雑感 - 道徳的動物日記
    maturi
    maturi 2020/12/25
    まあ結局は経済をよくしたり労働環境を改善するなどの間接的な解決策で男女双方の幸福感を高めて、孤独感や結婚願望が満たされないことによる男性のつらさを埋め合わせる、くらいしか方策はないのかもしれない。
  • 「一見非合理的に見えるものにも実は合理的な理由がある」論について - 道徳的動物日記

    エルスターの「酸っぱい葡萄」については論文の方の感想は先日に記事にしたわけだが、オンラインで一部公開されている単著の方の「訳者あとがき」も参考になる。今回はこの「訳者あとがき」の方を読んでの雑感*1。 分析的マルクス主義者でもあるエルスターによる「バイアス」論、そして階級的地位・階級的利益のために形成されるバイアスである「イデオロギー」論を受けての訳者の議論を引用する。 …一九七九年の総選挙でマーガレット・サッチャー率いる保守党が、労働者にとって有利とは思えない政策を掲げていたにもかかわらず、労働者階級の支持を得て政権に就いたことが重大な転機となった。このことは、抑圧された労働者の「階級意識」(=イデオロギー)が労働者自身のためのものとはならない可能性を示すものであり、それゆえ改めて階級意識がいかにして形成されるかの研究の必要性が生じた。 …(略)…そしてこの論点は現代のわれわれにとっても

    「一見非合理的に見えるものにも実は合理的な理由がある」論について - 道徳的動物日記
    maturi
    maturi 2020/11/29
    自分が理解できないことや気にくわないことについて「非合理だ」とすぐに断定してしまうことはつつしむべきだが、自分が擁護したいと思っていることについて「合理的だ」と主張してしまうのも同じ穴のムジ
  • 読書メモ:『ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論』 - 道徳的動物日記

    ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論 作者:デヴィッド・グレーバー 発売日: 2020/07/30 メディア: 単行 はじめに断っておくと、わたしはこのをフラットな状態で読みはじめたわけではない。『隠された奴隷制』でデヴィッド・グレーバー(やジェームズ・スコット)が援用されている箇所を読んだときには「アナーキスト人類学って胡散臭そうな主張だなあ」と思ってしまったし*1、国家制度や西洋社会や資主義の欠点をできるだけあげつらってオルタナティブな社会の価値を強弁する、という彼の基スタンスも気にわない。 Twitterなどを見ていても、グレーバー(的な主張)を好んでいる層にはわたしにとってノーサンキューな人が多そうだ。 とはいえ、労働というテーマについてはわたし自身もこれまでに色々なを読んできたし、自分なりに色々と考えてきたし*2、「ブルシット・ジョブ」という概念自体につい

    読書メモ:『ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論』 - 道徳的動物日記
    maturi
    maturi 2020/11/29
    ”自分の仕事を無駄と感じている三七%から四〇%の労働者”の一部は「ベーシックインカムはよきてくれ~」て思ってるだろな
  • 覚え書き:「被害者性の文化」と「美徳シグナリング」 - 道徳的動物日記

    (深夜に突貫で書いた記事なので、かなりグダグタな内容になっている) ポリティカル・コレクトネスとそれが引き起こす問題は様々な場面に存在している。このブログでは主にアカデミアにおけるポリコレの問題を扱ってきたし、今年からはじめた映画日記の方では創作表現におけるポリコレの問題についても扱うようになった。 アカデミアにおけるポリコレの問題と創作表現におけるポリコレの問題はどちらも「表現の自由」に関わる問題であるとはいえ、わたしは、なるべく一緒にはせずに別途の問題だと見なすようにしている。とはいえ、「どちらにせよ、その根源にあるものは同じだ」いう考え方もあるだろう。それに、アカデミアから価値観の多様性が失われて思想の自由市場が機能しなくなるという問題にせよ、創作において物語表現の幅が狭まって物語自体の質が損なわれるという問題にせよ、それぞれの問題の結果は別であっても、そもそもの問題のたちあらわれ方

    覚え書き:「被害者性の文化」と「美徳シグナリング」 - 道徳的動物日記
    maturi
    maturi 2020/11/04
    "他人()を批判するときに感情をあらわす場合には、傷付きより怒りを表明するようにしている。「俺がムカついた」という主語をはっきりさせて、他人がわたしの怒りに共鳴することは避けるように心がけている"
  • 人種は存在しない…のか? - 道徳的動物日記

    gendai.ismedia.jp 上記の記事は3ヶ月前のものだ。ブコメは現時点で30ほどしか付いていないが、わたしを含めて、違和感を表明しているコメントが多い。 特に違和感があるのは、やはり、「人種は存在しない、あるのはレイシズムだ」というタイトルだろう。ここには、ある種の文系の"学問"や"社会学"に独特なレトリックと、市井の感覚との乖離が見出せる。今回は上記の記事を直接批判したり反論したりするわけではないが、このタイトルが象徴するような、"社会学的"なレトリックや議論に対してわたしたちが感じる違和感について、ちょっと書いてみたい。 人種の問題に限らず、ある種の社会学(あるいは、ある種の「哲学」や「思想」)では、"わたしたちが「自然」であったり「普通」であると思っている物事は社会的に構築されている"、ということが強調される場合が多い。 そして、多くの場合には、その社会的構築の背景には"レ

    人種は存在しない…のか? - 道徳的動物日記
    maturi
    maturi 2020/09/13
  • 「死ぬ権利」を整備することは「死ぬ義務」につながるのか? - 道徳的動物日記

    以下のツイートを目にしたのをきっかけに、前々から思っていたことを書こうと思う。 この学会の構成員は医療従事者(半数が医師)約4000人で、比較的小さな学会だが、こういうところからも「尊厳死」の世論作りを始めてきたんだね。 / ”人が望まなければ救命措置せず” 臨床救急医学会が提言 | NHKニュース https://t.co/r8V8ZGXIpz — 双極鑷子 (@shiso_ume) 2017年4月7日 それを受けて”自称”安倍晋三の盟友である横倉日医師会会長は、高齢者の尊厳ある終末期医療について検討を始めることを決めたが、「財政の観点ではなく、人間の尊厳ある死を国民と考えていくことが大切だ」と述べた。しかし、尊厳ある生がこれほどおろそかにされた社会で、尊厳ある死を持ち出すか。 — 双極鑷子 (@shiso_ume) 2017年4月7日 近代医療の技術はそのまま輸入し、近代医療の生権

    「死ぬ権利」を整備することは「死ぬ義務」につながるのか? - 道徳的動物日記
    maturi
    maturi 2020/07/25
  • フェミニズムを素直に受け入れ過ぎ(ひとこと感想:『女性のいない民主主義』) - 道徳的動物日記

    女性のいない民主主義 (岩波新書) 作者:前田 健太郎 発売日: 2020/01/30 メディア: Kindle版 日の民主主義における「女性不在」の問題について、参政権や政策、投票行動や立候補などの問題に細かく分別しながら、「ジェンダー論」や「フェミニズム」という分析枠組みを用いて問い直すだ。古典的でベーシックな政治学の用語や理論に関する説明をしつつ、既存の政治学がジェンダーや女性という問題をいかに無視してきたか、という批判が主となっている。 著者の主軸というか得意分野はジェンダー論よりも政治学の方にあるらしく、政治学の理論や用語の整理の仕方は実に上手である。また、ジェンダー論やフェミニズムに関しても、論者によって意見が大きく分かれるような内容や突飛な内容にはあまり踏み込まずに、あくまでベーシックでけっこう古典的なタイプのフェミニズム的枠組みを採用している。そのために内容は無難なもの

    maturi
    maturi 2020/07/09
    ”「最短コース」で博士論文を書くようにするために論文に役立たない余計な理論はシャットアウトする、という人はいたような気がする。”
  • 労働者のエートスとエリートのエートス(読書メモ:『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々①』) - 道徳的動物日記

    アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える“真・中間層”の実体 (集英社学芸単行) 作者:ジョーン・C・ウィリアムズ 発売日: 2017/10/27 メディア: Kindle版 2016年の大統領選では多くの人がヒラリー・クリントンの勝利を確信していたが、実際にはドナルド・トランプが勝利することとなった。それをきっかけに、「リベラルなエリートは世の中を読み違えていたぞ」とか「メディアや知識人は人種的マイノリティや性的マイノリティにばかり注目して、マジョリティである労働者に目を向けていなかったのだ」という問題意識がにわかに湧き上がり、それについて語る様々な記事やが矢継ぎ早に登場することになったものだ*1。そのなかでも『ヒルビリー・エレジー:アメリカの繁栄から取り残された白人』や『壁の向こうの住人たち:アメリカの右派を覆う怒りと嘆き』は

    労働者のエートスとエリートのエートス(読書メモ:『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々①』) - 道徳的動物日記
    maturi
    maturi 2020/06/14
    https://square.umin.ac.jp/massie-tmd/menkyoizon.html 医師免許の問題点、依存形成。医師免許を除いた自分は必要とされていない&厄介者扱いされている、そんな現実を否認するのに、医師免許は役立つ。
  • 「トランプ支持者の白人労働者」について書かれた本をまとめて読んでみて… - 道徳的動物日記

    ヒルビリー・エレジー~アメリカの繁栄から取り残された白人たち~ 作者:J・D・ヴァンス 発売日: 2017/03/24 メディア: Kindle版 新たなマイノリティの誕生―声を奪われた白人労働者たち 作者:ジャスティン・ゲスト 発売日: 2019/05/31 メディア: 単行 壁の向こうの住人たち――アメリカの右派を覆う怒りと嘆き 作者:A.R.ホックシールド 発売日: 2018/10/26 メディア: 単行(ソフトカバー) アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える“真・中間層”の実体 作者:ジョーン・C・ウィリアムズ 発売日: 2017/08/25 メディア: 単行 ↑ 世間ではブラック・ライヴズ・マターが話題だが、あえてこのご時世に、ひと昔前に邦訳された「トランプを支持した白人労働者の問題とはなにか、彼らはどんな特性や性質

    「トランプ支持者の白人労働者」について書かれた本をまとめて読んでみて… - 道徳的動物日記
    maturi
    maturi 2020/06/14
    社会に裏切られたと感じたハリウッド映画主人公の怨嗟台詞「今までちゃんと働いて税金も納めてきた」。USA民の”真面目で誠実”という自負の中身は「労働」&別角度で「納税」も大きい。(兵役=原義の”血税”も)。
  • 「再分配に関心はあるが、政党には無関心」(読書メモ:『アンダークラス:新たな下層階級』) - 道徳的動物日記

    アンダークラス (ちくま新書) 作者:健二, 橋 発売日: 2018/12/06 メディア: 新書 同じ著者の『新・日の階級社会』は以前に読んだが、そのから内容はあまり変わっていない。社会科学らしく統計情報が大量に出てくるではあるのだが、大量に出てくる図表はいずれも小さくて見づらいし、文中にも漢数字が多過ぎて嫌気が差してくる。の内容としても、似たようなテーマを扱っているが著者による解説がうまくて文化人類学的な面白みも感じられた『日の分断:切り離される非大卒若者たち』に比べると、内容が堅くて味気ない。 日のインテリとか出版人とかって「新書文化」を誇りに思っているフシがあるが、特に社会科学系の新書と歴史学系の新書は、読みやすいと言えないかたちで情報の羅列に終始しているものが多い。そういうを読み通せる人は元から好きであったり知的好奇心がすごい人であって、普通の人はわざわざ読み

    maturi
    maturi 2020/06/14
    "古市(やその元ネタの大澤真幸)の問題点は、「満足感」と「幸福」を同一視していたこと(「現状に満足している」ことは「現状は幸福である」ことを示さない)、そして若者の所属階級を考慮していなかったことだ"
  • 読書メモ:『金持ち課税:税の公正をめぐる経済史』 - 道徳的動物日記

    金持ち課税 作者:ケネス・シーヴ,デイヴィッド・スタサヴェージ 発売日: 2018/06/09 メディア: 単行 公正さには多くの異なる意味があるだろうが、課税における公正さには共通する特徴がひとつある。それは、人びとは平等に扱わなければならないという考え方である。課税における市民の平等な扱いは、三つの異なるタイプに分けることができる。第一は「平等な扱い」論だ。これはすべての人が同じ率で税を払うべきだという考え方で、その理由は、これが基的な民主的権利(各人の一票の重さは同じ、など)を模倣しているからである。第二のタイプは「支払い能力」論で、これは、支払う税の率はその人が自由に使える資源によって条件づけられるべきだという考え方になる。第三のタイプは「補償」論で、これは、支払う税率は国家が別の行動によってその人を特権的な地位に就けたかどうかによって決めるべきだと考える。 ……(中略)支払い

    読書メモ:『金持ち課税:税の公正をめぐる経済史』 - 道徳的動物日記