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ブックマーク / blog.livedoor.jp/route408 (12)

  • 雨の匂い : 有機化学美術館・分館

    9月12 雨の匂い 日は筆者の住む関東も久々の雨でした。ということで雨と化学の話でも。 雨が降り出すと、独特の匂いがすることがあります。といっても雨そのものは基的にただの水ですから、匂いは持っていません。また「雨の匂い」も、しばらく降り続くと消えてしまいます。ではあれは何の匂いなのでしょうか? その正体は「ジオスミン」(geosmin、ゲオスミンとも)なのだそうです。「大地」(geo)+「匂い」(smell)から名づけられた化合物です。 ジオスミン 実はこの化合物は、地中に棲んでいる細菌類が作っている化合物で、雨が降ると土中から叩き出されて舞い上がり、あの匂いがするのだそうです。しばらく降るとジオスミンは洗い流され、匂いは消えます。 人間の鼻はこの化合物に対して極めて敏感であり、5ppt空気に含まれているだけでその存在を感じ取れる――のだそうです(Wikipediaより)。5pptとい

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    maturi
    maturi 2021/03/09
  • ペーパー分子模型 : 有機化学美術館・分館

    4月22 ペーパー分子模型 新型コロナウイルスの問題は、なかなか落ち着く気配が見えてきません。収束までには年単位の時間を要するという識者も多く、新薬やワクチンもまだ時間がかかるでしょうから、長期戦を覚悟しなければならない情勢でしょう。 この状況で、たとえば抗ウイルス材料の開発など、化学者としてできることはいろいろありそうに思えます。SlackやZoomなどオンラインコミュニケーションの環境も整っている折、異分野の人が集まってブレーンストーミングなどやってみると面白いかななどと一人で思っております。 とはいえ筆者のような一般人には、家にこもっているのが、とりあえずできる最大の貢献です。ということで、家にいる時間の過ごし方の一助として、また性懲りもなく分子模型のペーパークラフトを考案してみました。 以前は正三角形のパーツを組み合わせた、穴の空いた形のフラーレンモデルをアップしました。ただこれは

    ペーパー分子模型 : 有機化学美術館・分館
    maturi
    maturi 2020/04/26
    アビガンの模型、めっちゃシンプルだな
  • インドとインドメタシンのどうでもいい話 : 有機化学美術館・分館

    10月4 インドとインドメタシンのどうでもいい話 カテゴリ:有機化学雑記 ある日、突然友人に尋ねられたこと。 「CMでさ、インドメタシンって薬が出てくるじゃない」 「ああ、あるね。非ステロイド系消炎鎮痛剤に分類される医薬品で、シクロオキシゲナーゼを阻害することによってプロスタ……」 「いや、そんなウンチクはいいんだけどさ、あれってインドと何か関係があるの?インド人が作ったとか?」 「いや、あれは確かもともとアメリカのメルクが出した薬だから、特別インドと関わりはないと思うけど」 「何だ、全く関係ないんだ」 そういわれると全く関係がないのかどうかよくわからない。調べてみることにしました。 (indomethacin) まずインドメタシンの構造は上の通り。中心にインドール骨格を持っています。なるほど、インドメタシンの名はこのインドールから来ているのでしょう。ちなみにこのインドールは、高濃度では糞

    インドとインドメタシンのどうでもいい話 : 有機化学美術館・分館
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    maturi 2015/11/09
    ”グレコローマン期のヨーロッパは主にインドからインディゴを輸入していた。インディゴを介したインドとギリシャの交流は、この染料を意味するギリシャ語 indikon に反映されている。ローマ人はイタリア語での語源とな
  • 赤はなぜ色褪せるのか

    9月6 赤はなぜ色褪せるのか カテゴリ:有機化学構造 街を歩いていると、色あせた古い標識を見かけることがあります。 この標識は来鮮やかな赤色の矢印なのですが、ご覧の通りかなり褪色して薄いピンクのような色合いになっています。これに対し、国道のおにぎりマークや縁取りの青はまだ鮮やかさを保っています。このタイプの標識は、1995年から設置されるようになったものですので、20年ほどで赤だけがずいぶん色褪せてしまっているということになります。 このように、赤色が他の色より褪色しやすいというのは、ちょくちょくみかける現象です。ひどくなると下の写真のように、肝心なところがきれいに抜けて読めなくなったりします。大事なことは赤で書きたくなりますが、時の流れを考えるとあまり得策でないことがわかります。 さて、なぜ赤色はさめてしまいやすいのでしょうか?これは偶然ではなく、それなりの理由があります。まず赤い塗料

    赤はなぜ色褪せるのか
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    maturi 2015/09/08
    全然関係ないがパワポで赤字を使うと却って目立たない
  • ナノチューブの「成長因子」 : 有機化学美術館・分館

    8月11 ナノチューブの「成長因子」 カテゴリ:炭素材料 カーボンナノチューブ(CNT)が画期的な材料であることは、館などでも何度か触れている通りです。ただしその応用がもうひとつ進まないのは、「形状の揃ったCNTが作りにくい」という点が、大きな障害となっているためです。 CNTは直径やねじれ具合が異なったものが無数に存在し、形状によって半導体になったり良導体になったり、性質が大きく違ってきます。これまでの方法では、いろいろな形状のCNTが混じったものしか得られず、ほしいものだけを作る方法は知られていませんでした。 さまざまなCNT 昨年、CNTの形状制御に大きく近づいたのは名古屋大学の伊丹らのグループです(記事)。彼らは、ベンゼン環がパラ位で環につながった「シクロパラフェニレン」(CPP)を有機合成の技術で作り、これをテンプレートにしてCNTを成長させる方法を編み出しました。しかしこれも

    ナノチューブの「成長因子」 : 有機化学美術館・分館
  • まだこの世にない化合物 : 有機化学美術館・分館

    4月20 まだこの世にない化合物 マンガや小説に出てくる架空の化合物というのはいろいろあり、なかなか面白い設定のものもあります。しかし構造式までしっかり明かされているケースは多くありません。先月紹介した「ラブ・ケミストリー」には、主人公が合成しようとしている「プランクスタリン」という化合物の構造式が、裏表紙にもしっかりと印刷されていますが、これは極めて珍しいケースといっていいでしょう。 プランクスタリン ところが先日某所にて、月刊ヤングマガジンに連載されている「エリート!!」というマンガに、見たことのない分子の構造式が載っているとの情報がありました。刑事対爆弾魔の話であるようです。てことでちょっと購入。こんな分子でした。 ほほう、なかなか興味深い。 ドデカニトロヘキサプリズマン。まだ合成されたことのない分子です。これに近い分子としてはオクタニトロキュバンがあります(以前館でも紹介しました

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    maturi 2014/04/26
  • 化学家紋 : 有機化学美術館・分館

    2月10 化学家紋 カテゴリ:雑記 さて先日、ツイッターで「現代家紋」というのが流行っていました。まあこんな感じ↓で、どこかで見かけたようなマークや記号を、家紋風にアレンジして遊ぼうというものです。秀逸な作品も多く、まとめもできています。 西村備山@lipoyang頭合セ三ツWiFi #現代家紋 http://t.co/BFHfaat93n2014/02/06 21:31:48 ということで、化学版の家紋というのもあると面白いかなということで、いくつか考えてみました(筆者は決してヒマを持て余しているわけではありません)。 ・亀甲 有機化学の基はやはりこれ。日の伝統文様とも違和感なくなじみます。 ・丸にフラーレン みんな大好きフラーレン。五員環を黒く塗ったほうが、紋様としては引き立つかもしれません。 ・丸に三つ水分子 水素結合している方がよいという声がありましたが、筆者の腕ではまとまりが

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    maturi 2014/02/11
    ”上から見たフェロセン”  上…?
  • 波打つ炭素材料「ワープド・ナノグラフェン」登場 : 有機化学美術館・分館

    7月16 波打つ炭素材料「ワープド・ナノグラフェン」登場 カテゴリ:炭素材料 フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンといった炭素材料、いわゆる「ナノカーボン」の可能性については、ブログで何度も取り上げている通りです。これらの材料は、球状で自己完結しているフラーレン類が0次元物質、直線的にどこまでも伸びるカーボンナノチューブが1次元、平面的に広がるグラフェンが2次元と見ることができます。 となると、3次元ナノカーボンという物質を想像したくなります。ナノカーボンは芳香族の6員環が基ですが、これだけだとどうあがいてもナノチューブかグラフェンのような物質にしかなりません。立体要素を導入するには、5員環や7員環を導入する必要があります。 5員環を入れると、全体はお椀のように丸みを帯びます。また7員環が入ると、鞍のように反り返った形状になります。 コランニュレン 7-サーキュレン こうした環

    波打つ炭素材料「ワープド・ナノグラフェン」登場 : 有機化学美術館・分館
  • 自動車部品の供給不足がまた起きる? : 有機化学美術館・分館

    4月22 自動車部品の供給不足がまた起きる? 3分子のブタジエンが、ニッケル触媒の存在下で環化する有名な反応があります。原型は1950年代に報告された古い反応で、触媒によって様々な生成物ができることが知られています。遷移金属の重要性が知られるきっかけのひとつになった反応で、いわば有機金属化学の古典といえるでしょうか。 ブタジエンが3分子で環になり、12員環を形成する。 この反応は、工業的にも大きな意義を持っています。生成物である12員環化合物(1,5,9-シクロドデカトリエン, CDT)は、ポリマーの原料として重要なのです。 シクロヘキサノンからオキシムを経てベックマン転位反応で7員環のラクタムとし、これを重合させて6-ナイロンを作る反応は、教科書にも必ず出てくる有名なプロセスです。先の反応でできる12員環化合物を同じように反応させれば、炭素鎖が長いナイロンができてきます(ポリアミド12、

    自動車部品の供給不足がまた起きる? : 有機化学美術館・分館
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    maturi 2012/04/26
    ”たった一工場の火災で世界中のPA12生産が止まってしまうのか?と思いますが、こうした産業では規模が物をいうため、ひとつの巨大工場が世界の生産高の多くを占めているケースはままあります。こうした工場がダメー
  • 折り紙準結晶2 : 有機化学美術館・分館

    2月26 折り紙準結晶2 昨年のノーベル化学賞に輝いた準結晶については、すでに何度か当サイトでも触れております。で、一度「折り紙準結晶」と題して、付箋紙で作るペンローズタイルの折り方を掲載しました。 付箋紙で作ったペンローズタイル ただそちらでも書きました通り、これは実は準結晶ではなく、その2次元版というべきペンローズタイルですので、「折り紙準結晶」というタイトルは若干誇大広告ではあります。ということで、格的な3次元の準結晶格子を作れないものか、いろいろ調べておりました。とはいえ普通の結晶格子ですら把握は難しいのに、非周期的な準結晶ともなると、なかなか筆者の脳みその手に余るところとなってきます。 とりあえずいろいろネットを漁ってみますと、準結晶研究の第一人者である蔡 安邦・東北大教授による報告資料(PDFファイル、準結晶の構造については11ページから)、そして多面体ファンの間では知られた

    折り紙準結晶2 : 有機化学美術館・分館
  • 第3の固体・準結晶の発見にノーベル化学賞 : 有機化学美術館・分館

    10月6 第3の固体・準結晶の発見にノーベル化学賞 さて日はノーベル化学賞の発表ということで、ストックホルムからの電話を正座待機されていた方も多いと思います。あ、筆者だけですか。 ・結晶とアモルファス で、見事今年の栄冠を射止めたのはイスラエルのダニエル・シェヒトマン教授でした。いろいろな予想にも挙がっておらず、ほとんどノーマークだったのではと思います。氏の業績は「準結晶の発見」。ひとことでいえば、結晶・アモルファスに続く、第3の固体を発見したことが評価されたものです。 結晶というのは、原子や分子やイオンが、繰り返しパターンをもってびっしりと並んだ状態です。わかりやすいのは塩の結晶で、NaとClのイオンがジャングルジムのように規則正しく詰め込まれた構造です。ちなみにアモルファスというのはこのような規則性のないバラバラなつまり方をした固体で、身近なものではガラスが代表的です。 塩の結晶

    第3の固体・準結晶の発見にノーベル化学賞 : 有機化学美術館・分館
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    maturi 2011/10/06
     うつくしい
  • 作ってはいけない : 有機化学美術館・分館

    8月15 作ってはいけない 有機化学の研究では、非常に数多くの化合物を扱う必要があります。特に製薬企業の研究所などでは、最適な化合物を探索するために、いろいろなパーツを体に結合させて試す、いわゆる「置換基を振る」という作業があり、多くの試薬を扱うことになります。 この際、意外と簡単な化合物なのに、なぜか試薬として市販されていないことがあります。まあしゃあない、これくらい自分で作るか、とうかつに合成するとえらいことになるケースが世の中には存在します。 代表的なのはフェニル酢酸。簡単な構造で、ペニシリンGの置換基にも含まれていたりしますが、これを作ると覚醒剤取締法違反となってしょっぴかれます。これ自身に覚醒剤としての作用はありませんが、アンフェタミンなど合成覚醒剤の原料になるため、製造や所持に厳重な規制がかかっているのです。フェニルアセトンや、フェニルアセトニトリルもこれと同様です。そのわり

    maturi
    maturi 2011/08/18
    触法または生物学的に危険なので合成してはいけない化合物について
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