アフリカは「歴史なき大陸」と言われてきたが、1960年代以降の研究によって、新しいアフリカ史が誕生した。また、アフリカ史は、文書資料中心の近代実証主義に立つ歴史学の方法論そのものに対しても問題提起したのである。さらにアフリカの社会観を研究することは現代のわたしたちに新しい価値観を提供する可能性を秘めている。高校時代からアフリカに興味があり、人類学、社会学の立場から、フィールドワークに基づいて研究されている京都大学大学院 文学研究科教員 松田素二(社会学)さんにアフリカ史と歴史学が変わる可能性についておうかがいした。 従来、世界史のアフリカの記述は、人類発祥から、19世紀に入ってヨーロッパ諸国の植民地化が始まるまでは、ほとんど空白になっていました。 こうした実証歴史学の歴史なきアフリカという見方を覆そうという試みは、アフリカが独立して以降、まずアフリカ出身の第一世代の歴史家たちによって始め