こないだ金融学会で、国際金融のパネルディスカッションをしました。その際に、為替を説明する理論として、PPP(購買力平価)は、現在、市場参加者の中で、大変人気がない理論だという話になりました。その重要な要因は、今の円安を全く説明できないからです(もしPPPが成立するなら、逆に言えば、これから円高になるということも示唆されます)。 その一方、私の理解では、経済学者の中で、中長期的にPPPが成立するという緩やかなコンセンサスがあると感じています。そこでいくつか国際金融のテキストをみてみたのですが、結構、教科書にとってトーンが違うという印象をうけました。 まず、一番、おそらくスタンダードなテキストであるオブストフェルド・クルーグマン・メリッツのInternational Economicsでは、第18章でPPPについて触れられています。このテキストの書きぶりは、驚くほどPPPに冷たいです。 PPP
![PPP(購買力平価)はどれくらい成立するか|服部孝洋(東京大学)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/2972a6e4ec91d6f72f9fd0cc9ab8d39f58dfdf86/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fd2l930y2yx77uc.cloudfront.net%2Fproduction%2Fsocial_images%2Ff509d72d9d269f413765fa6c50de637bfab5edba.png)