タグ

ブックマーク / webgenron.com (8)

  • カリブ海の記憶と逃走/闘争する奴隷たち──ポスト西洋的な「自由」概念としてのマルーン化|中村達

    2015年8月、日が戦後70年を迎えた月に、私はイギリスによる植民地支配からの独立後53年目となったカリブ海の島国、ジャマイカにいた。それまで東京の大学で英文学を学んでいた私は、飛び出すように大学院を退学し、ジャマイカの首都キングストンにキャンパスをもつ、西インド諸島大学の博士課程へ留学したのだ。 西インド諸島大学モナキャンパスの英文学科は、英語では“The Department of Literatures in English”と複数形をもちいて表記される。もともと西インド諸島大学は、ジャマイカがイギリスの植民地だった時代に、ロンドン大学の分校として設立された過去をもつ。そのカリキュラムはイギリス国と同一であり、シェイクスピアやワーズワースといったイギリス人作家だけが教えられた。その後、アメリカ人作家の作品もカリキュラムに加えられる。しかしカリブ海の作家たちが授業に取り上げられるこ

    カリブ海の記憶と逃走/闘争する奴隷たち──ポスト西洋的な「自由」概念としてのマルーン化|中村達
    maturi
    maturi 2024/06/15
     ”において自由は、認知、形而上学、平等主義、逃げ場があることの希望、そして社会的政治的秩序における大衆の経験によって形作られる」。”
  • 【書評】労農派ピケティは「バラモン左翼」を乗りこえられるか──トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』評|梶谷懐

    リベラル知識人はなぜ「バラモン左翼」と呼ばれるか 東浩紀は、『訂正可能性の哲学』(ゲンロン)や『訂正する力』(朝日新書)などの最近の著作のなかで、次のようなカズオ・イシグロの言葉にたびたび言及している。 俗に言うリベラルアーツ系、あるいはインテリ系の人々は、実はとても狭い世界の中で暮らしています。東京からパリ、ロサンゼルスなどを飛び回ってあたかも国際的に暮らしていると思いがちですが、実はどこへ行っても自分と似たような人たちとしか会っていないのです。[★1] 東は、開放性を掲げるリベラル知識人が、実は同じ心情や生活習慣を持つ人々の中で閉じたサークルを作っている、という実態を批判する文脈でこの発言に触れている。確かにそれも重要な視点だろう。そのうえで、ここではイシグロがそれに続けて語った内容により注意を向けたい。 私は最近とよく、地域を超える「横の旅行」ではなく、同じ通りに住んでいる人がどう

    【書評】労農派ピケティは「バラモン左翼」を乗りこえられるか──トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』評|梶谷懐
    maturi
    maturi 2023/12/02
  • イスラエルの日常、ときどき非日常(4) 共通体験としての兵役(3)|山森みか

    前回までは、現在のイスラエル国に住んでいる人々には、宗教的伝統や文化を基盤とした様々な集団(宗教的ユダヤ人、世俗的ユダヤ人、アラブ人キリスト教徒、アラブ人イスラム教徒、ベドウィン、ドゥルーズ教徒、父親や祖父母がユダヤ人でも母親がユダヤ人でないため非ユダヤ人と見なされる人々)が存在することを紹介してきた。そして、18歳から男女共に課される徴兵制が、これらの異なるグループに属する人々をイスラエル国民として結びつける役割をしばしば果たしていることを述べてきた。 イスラエルの徴兵制度では、男女とも18歳になれば誰もが一兵卒から始めなければならない。また兵役期間が終わった後も完全除隊になるまでは、定期的あるいは緊急の予備役召集に応じる義務がある。これらの特徴が、兵役経験を持つ人々の紐帯を強化しているのかもしれない。たとえば、前回述べたとおり、2021年の東京オリンピックの男子体操競技(種目別ゆか)で

    イスラエルの日常、ときどき非日常(4) 共通体験としての兵役(3)|山森みか
    maturi
    maturi 2023/11/08
  • 戦いの虚しさと恐怖を語り継ぐ──現在のウクライナ戦争下の世界情勢の中で観るべき東欧映画11本|Knights of Odessa

    戦いの虚しさと恐怖を語り継ぐ──現在のウクライナ戦争下の世界情勢の中で観るべき東欧映画11|Knights of Odessa 私、Knights of Odessa は、「死ぬまでに観たい映画1001」を通して知ったフランチシェク・ヴラーチル監督によるチェコ映画『マルケータ・ラザロヴァー』(1967年)の力強さと、フサーリク・ゾルタン監督によるハンガリー映画『Szindbád』(1971年)の摩訶不思議さに惹かれて以降、東欧映画を400ほど鑑賞してきた。今回は「現在のウクライナ戦争下の世界情勢の中で観るべき東欧映画」として、関連する11の作品を紹介したい。 題に入る前に、2点ほど明確にしておくべきことがある。1点目は、今回の記事のテーマが「現在のウクライナ戦争の状況を知るために観るべき映画」ではないことだ。ウクライナでは、特に2014年のクリミア併合以降の期間に、ロシアとの問題

    maturi
    maturi 2023/03/18
    東欧中欧他の人がそこで撮った映画の紹介|それ以外の人がそこを舞台にした映画「あの日の声を探して」「独裁者と小さな孫(戦争ではない)」「(逆説的だが)オーガストウォーズ(ロシアVSジョージア)」「
  • いまこそ「史論家」が必要だ──百田尚樹、つくる会、歴史共同研究再検証(前篇)|呉座勇一+辻田真佐憲+與那覇潤

    2022年1月14日、中世史家の呉座勇一さん、近現代史研究者の辻田真佐憲さん、そして評論家の與那覇潤さんをゲンロンカフェに迎えたイベント「歴史修正と実証主義──日史学のねじれを解体する」を開催しました。 百田尚樹氏の『日国紀』についての議論から始まったイベントは、歴史における「事実」と「物語」、国民国家とポストモダン、学術書と新書、専門家と史論家など、さまざまなものの「あいだ」を検討していくものになりました。「いまここ」の正しさばかりを主張する論争が繰り返される現代社会で、歴史を語り直すことのさきに見えるものとは。必読の鼎談です。 イベントのアーカイブ動画は、シラスで7月14日まで公開中です。 URL=https://shirasu.io/t/genron/c/genron/p/20220114 また、6月10日には、呉座さん、辻田さん、與那覇さんによる鼎談シリーズの第2弾「開かれた

    maturi
    maturi 2022/06/12
    豪華メンバー
  • つながりロシア(11)インタビュー 極東の「右」ハンドルとポスト帝国の想像力|ワシーリイ・アフチェンコ 聞き手=東浩紀+上田洋子

    つながりロシア(11)インタビュー 極東の「右」ハンドルとポスト帝国の想像力|ワシーリイ・アフチェンコ 聞き手=東浩紀+上田洋子 東浩紀 ぼくは最近、極東ロシアを含む満洲と日の関係について考えています。そんなとき、アフチェンコさんの『右ハンドル』(2009年、邦訳2018年)に出会いました。ソ連崩壊後の混乱期に、ウラジオストクが中古自動車を通じて日と親密な関係を築いていたことをこので知り、興味深く感じました。 ウラジオストクは、シベリア鉄道の終着点でもあります。ロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世は、皇太子時代、シベリア鉄道の起工式のためにウラジオストクに行く前に日に立ち寄っています。日では大津事件[★1]で有名です。 ワシーリイ・アフチェンコ 地理や気候の観点からすると、ウラジオストクも広義の満洲に含まれますね。ぼく自身は二度ほど日を訪れています。東京、横浜、京都、奈良、大阪、そ

    つながりロシア(11)インタビュー 極東の「右」ハンドルとポスト帝国の想像力|ワシーリイ・アフチェンコ 聞き手=東浩紀+上田洋子
  • 日付のあるノート、もしくは日記のようなもの(6) 頭のなかの闇(その2)──3月16日から4月19日|田中功起

    日付のあるノート、もしくは日記のようなもの(6) 頭のなかの闇(その2)──3月16日から4月19日|田中功起 2018年の夏、ぼくはホノルルの高層マンションで生活をしている。 文化交流使という文化庁の事業があるんだけれども、ぼくはそれに選ばれた。文化交流使事業には日文化海外発信するという目的がある。例えば伝統文化についての実演やポップカルチャーについての紹介などが主なので、幅広く、いわゆる芸能人も選ばれたりする。ところでぼくの場合、発信すべき日文化の「何か」を持ち合わせていない。ずいぶん前から話をもらっていたけど、最終的にぼくから提案したのは日系移民史についての調査をするということだった。ハワイからはじまり、アメリカ西海岸、そして最後にはブラジルに行くという日系移民が辿った道程をなぞる調査計画を立てた。 ぼくが移民史のなかでも特に興味があったのは、太平洋戦争下での日系人強制収容につ

    日付のあるノート、もしくは日記のようなもの(6) 頭のなかの闇(その2)──3月16日から4月19日|田中功起
    maturi
    maturi 2021/04/25
    タグ合致率
  • ニッポンの保守──2020年桜の陣(1) コロナ禍と保守|小林よしのり+三浦瑠麗+東浩紀

    新型コロナウイルスが世界的に猛威をふるい、「外出自粛」、「ロックダウン」といった言葉も飛び交うなか、4月7日には緊急事態宣言が発令されました。ゲンロンカフェでは2月28日以降のイベントを中止、または延期し、一部の番組のみ無観客で配信を行っています。3月28日は、「ニッポンの保守──2020年桜の陣」と題し、小林よしのり氏と三浦瑠麗氏、そして東浩紀の鼎談番組を放送しました。話題はおのずとコロナをめぐる騒動が中心となりました。 社会の反応、政府の対応、言論人、知識人の言説に対し、3人はいまなにを思うのか。番組前半のコロナ禍をめぐる議論を先行無料公開します。憲法と皇室について展開された第2回はこちらから、ジェンダーがテーマとなる第3回はこちらからお読みいただけます。(編集部) ※ イベントのアーカイブ動画は、Vimeoにてご視聴いただけます。ぜひご覧ください。 URL= https://vim

    ニッポンの保守──2020年桜の陣(1) コロナ禍と保守|小林よしのり+三浦瑠麗+東浩紀
    maturi
    maturi 2020/04/23
    2020.4.22配信 2020.3.28収録
  • 1