クリント・イーストウッドの監督・主演による「グラン・トリノ」は惻隠(そくいん)の情を描くハードボイルドであり、人種差別の不毛さを訴える燻し銀の人間ドラマであり、ハートウォーミングで最後の最後まであっと驚かされるエンターテインメント作品だ。 〜熱量あるドラマでネイティブの3ビート理解も深まる〜 多くの人々が絶賛する「グラン・トリノ」は、クリント・イーストウッド演じる頑固一徹のポーランド系アメリカ人コワルスキーと、中国のモン族のタオとスーという姉弟との奇妙な友情が生む、ハードボイルド人間ドラマだ。 正直お固い方々にはお薦めし難いぐらい、差別的な言葉やスラング、罵詈雑言が盛りだくさんの映画であり、主人公やその周辺人物の口の悪さと言ったら相当なものだ。 それでも、そこにはソフィスティケイトされていない本来の「生のアメリカ」があり、クリント・イーストウッドの狙いは差別を助長するのとは真逆の、差別が如