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ブックマーク / www.nikkei-science.com (16)

  • アズキ 日本から大陸に渡った作物

    白菜に葱,大根,人参──こうした野菜はどれも日卓に欠かせないものだが,来歴をたどれば全て原産地は海外だ。たとえば白菜の原産地は中国北部,人参の原産地はアフガニスタンやイランのあたりとされる。大陸から海を渡ってきた縄文人や渡来人と同様,野菜もまた海の彼方からこの日列島へやってきたのだ。しかしゲノム解析によって,赤飯やあんこに使われるアズキが縄文時代の日列島で作物に変化し,アジアの大陸地域へ広まった作物であることが明らかになった。この研究を行った,国立研究開発法人農業・品産業技術総合研究機構(農研機構)上級研究員の内藤健に話を聞いた。 続きは2024年2月特大号の誌面でどうぞ。 協力 内藤 健(ないとう・けん) 農研機構遺伝資源研究センター上級研究員。農業への応用の観点から,海沿いや乾燥地,寒冷地など様々な環境に適応する野生アズキ類を幅広く研究している。 サイト内の関連記事を読むゲ

    アズキ 日本から大陸に渡った作物
  • 回る霊長類〜日経サイエンス2023年11月号より

    ぐるぐる回ることで知覚の変化を楽しんでいるようだ 2011年,パールマン(Marcus Perlman)はYouTubeであるゴリラの動画を見た。カナダのアルバータ州にあるカルガリー動物園で,ゾラという名のゴリラが水たまりの中でくるくる回って遊んでいた。そして2017年,再びゾラの動画に気づいた。今度はテキサス州にあるダラス動物園が撮影したバズり動画で,ゾラは子供用の青いビニールプールの中で周囲に水をはね上げながら回っていた。 英バーミンガム大学の英語言語学講師パールマンは身振りコミュニケーションを研究してきたので,これらの動画を見て類人猿のこうした行動について好奇心をかき立てられた。調べてみると,回転する類人猿の動画が約400以上見つかった。「つま先旋回にバック転,側転,前転,斜面を転がり降りたりロープにつかまって回ったりと様々だった」という。 英ウォーリック大学の霊長類学者・進化心

    回る霊長類〜日経サイエンス2023年11月号より
    maturi
    maturi 2023/10/13
    たーのしー
  • 高次元宇宙「プランクブレーン」 とは何か

    全国公開中の映画シン・ウルトラマン』では人類とウルトラマンが,地球侵略を目論む外星人と熾烈な戦いを繰り広げる。その作品世界は最先端の物理学をベースにイメージを膨らませて創造された。作中で示される物理概念で,物語を駆動するキーコンセプトになっているのが「プランクブレーン」だ。 プランクブレーンは,人類が天体望遠鏡で観測したり実験装置で調べたりできる宇宙とは別の宇宙のこと。私たちにとって3次元空間の宇宙は唯一無二だが,『シン・ウルトラマン』の作品世界では宇宙はたくさん存在している。宇宙は当は3次元よりも次元の数が多い高次元空間であり,その中に3次元空間部分がいくつも存在している。その1つが私たちが認識する3次元の宇宙であり,プランクブレーンもそうしたものになる。「高次元宇宙」と呼ばれるモデルの一例だ。 素粒子物理学の「超弦理論」によれば,現実世界も高次元宇宙であって,プランクブレーンが実在

    高次元宇宙「プランクブレーン」 とは何か
    maturi
    maturi 2022/09/06
  • 超重元素「スペシウム133」研究序説

    ウルトラマンのエネルギー源は何か。全国公開中の映画シン・ウルトラマン』の作中,防災大臣らとの会談の席上でこう問われた外星人「ザラブ」は滑らかな口調で答えた。「133番元素,スペシウム133だ」。元素は原子番号が大きいものほど重くなり,104番以降は超重元素と呼ばれる。現実世界で見つかっているのは118番まで。133番は理論的に存在が予想される超重元素だ。 現実世界において,新しい超重元素を探索する世界的拠点が国内にある。現代物理学のパイオニア,仁科芳雄(にしな・よしお)の名を冠した理化学研究所の仁科加速器科学研究センター(埼玉県和光市)だ。仁科センターを中心とするグループは113番元素をめぐるロシア・米国共同グループとの熾烈な競争を制し,米欧露以外で初めて元素命名権を獲得,「ニホニウム」が誕生した。 その前センター長で,シン・ウルトラマン』の制作に協力した延與秀人(えんよ・ひでと)博士に

    超重元素「スペシウム133」研究序説
  • 特集:シン・ウルトラマンの物理学

    現代日にウルトラマンや外星人が登場したらどんなことが起きるか。そんな仮想世界を描いたのが全国公開中の映画シン・ウルトラマン』だ。スーパー兵器は登場せず,等身大の政治家や官僚そして科学者が,突拍子もない事態に直面して右往左往する様子が活写されている。その作品世界を支えているのが物理学だ。ウルトラマンが行ったり戻ったりできる高次元宇宙「プランクブレーン」は素粒子物理学の超弦理論による宇宙モデルがベースになっている。またウルトラマンにとって必須の「スペシウム133」は原子核物理学の最新研究を踏まえるとリアリティが出てくる。物理学のエンターテインメント作品としての『シン・ウルトラマン』の魅力に迫る。 高次元宇宙「プランクブレーン」とは何か 中島林彦  協力:橋幸士 超重元素「スペシウム133」研究序説 中島林彦  協力:延與秀人/羽場宏光/森幸司

    特集:シン・ウルトラマンの物理学
  • 透明化が社会に強いる進化

    5億4000万年前の海で生物の多様性が急増した「カンブリア爆発」は,海の透明化に適応する爆発的進化だったという説がある。デジタル技術が現代社会をどう変えていくかを,これになぞらえて考察できる。太古の動物が体形や捕者を欺く方法を進化させて透明化に適応したように,「情報の透明化」が組織の進化に大きな選択圧を及ぼし,機密保持が難しくなった国家や企業は同様の防護策を発達させるだろう。 再録:別冊日経サイエンス249「科学がとらえた格差と分断 持続可能な社会への処方箋」 再録:別冊日経サイエンス212「サイバーセキュリティー」 著者Daniel C. Dennett / Deb Roy デネットはタフツ大学のユニバーシティプロフェッサーで認知研究センターの共同所長。近著に「Intuition Pumps and Other Tools for Thinking」と 「Caught in the P

    透明化が社会に強いる進化
    maturi
    maturi 2021/12/20
    喩えマン”太古の動物が体形や捕食者を欺く方法を進化させて透明化に適応したように,「情報の透明化」が組織の進化に大きな選択圧を及ぼし,機密保持が難しくなった国家や企業は同様の防護策を発達させるだろう。
  • デング熱ワクチンの混迷 抗体依存性感染増強

    S. ヤスミン(スタンフォード大学) M. ムカジー(SCIENTIFIC AMERICAN 編集部) 毎年3億9000万人以上がデングウイルスに感染している。デングウイルスに初めて感染した人は大半が感染に気づかないが,再感染した場合には命を落とすことがある。デングウイルスへの再感染がなぜ初感染よりもはるかに致死的なものになりうるかについては,長年論争の的となっている理論「抗体依存性感染増強(ADE)」によって説明できる。 初めて認可されたデング熱ワクチン「デングワクシア」は,デングウイルスへの感染歴のない子供に対しては初感染と同じように作用するように見え,後に感染したときの症状を重篤化させている可能性がある。この現象とADEの関係についてはまだ結論が出ていない。 再録:別冊日経サイエンス238「感染症 ウイルス・細菌との闘い」 著者Seema Yasmin / Madhusree Muk

    デング熱ワクチンの混迷 抗体依存性感染増強
    maturi
    maturi 2020/02/12
    デングウイルスに初感染した人は大半が感染に気づかないが,再感染した場合には命を落とすことがある。再感染がなぜ初感染よりも致死的なものになりうるかについては「抗体依存性感染増強(ADE)」理論によって説明で
  • 知能は伸び続けるか

    知能指数(IQ)のスコアが過去100年にわたって着実に上昇を続けている。「フリン効果」として知られる現象だ。この上昇は図形合わせなど“文化の違いによらない”と考えられるテストの結果から生じている。 現代の生活は抽象的な思考をますます必要とするようになっており,それがフリン効果をもたらす根的な原因になっていると研究者たちは考えている。先進的な知性は技術を生み出し,それがさらに知性を高めるというフィードバック関係を生み出しており,この関係は衰える兆しを見せていない。 フリン効果が今世紀中に終わりを迎えるとは考えにくい。将来は,あなたも私もひどく前近代的で想像力の欠けた人物に見えるような世界になるのだろう 再録:別冊日経サイエンス191 「心の迷宮 脳の神秘を探る」 著者Tim Folger 多くの賞を受けているサイエンスライターで,「The Best American Science and

    知能は伸び続けるか
  • なぜマジックにだまされるか

    マジシャンは観客を煙にまくために,さまざまな手法を取り入れている。スモークや鏡,爆発音,照明の制御,手先の早業,大がかりな秘密の仕掛け……。だが,彼らにとって最大の武器は,観客に錯覚を起こさせるテクニックだ。マジックの世界では,観客の注意をそらす方法を「ミスディレクション」と呼ぶ。すぐれた手品師はこのミスディレクションの手法を自在に使う。 ミスディレクションには「顕在的」なものと「潜在的」なものとの2種類がある。顕在的ミスディレクションは,観客に向かって特定の方向を見るよう指示し,その間にマジシャンがトリックを実行するような場合。一方,潜在的ミスディレクションには「変化の見落とし」と「非注意による見落とし」の2つがあり,これらは言葉や動作による明確な誘導を伴わない。 観客は,目の前で行われたはずのトリックを“見落とす”のは,トリックが行われている最中に見るべき場所を正しく見ていなかったため

    なぜマジックにだまされるか
    maturi
    maturi 2019/08/21
  • 2019年5月号

    2019年3月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm 定価1,466円(10%税込) ご購入はお近くの書店または下記ネット書店をご利用ください。 電子書店リスト 愛読者アンケート 宇宙物理学 特集:宇宙の暗黒問題 変容する暗黒エネルギー 超弦理論が示す新たな予想  中島林彦/協力:大栗博司,村山斉 暗黒物質は幻か?修正重力理論の新たな展開  S. ホッセンフェルダー/S. S. マッガウ 特集:格差を科学する 経済学 仕組まれた経済 格差拡大の理由  J. E. スティグリッツ 疫学 不平等が蝕む健康  R. M. サポルスキー 日でも進む「格差と健康」研究  古田彩/協力:近藤尚己 環境 格差が加速する環境破壊  J. K. ボイス 生物学 絶滅したハワイの花 マウンテン・ハイビスカスの香りを復活  R. ジェイコブセン 環境 南極の氷床が崩壊中? 海面上昇加速の危機  R.

    2019年5月号
    maturi
    maturi 2019/04/11
    特集:格差を科学する 経済学 仕組まれた経済 格差拡大の理由  J. E. スティグリッツ  疫学 不平等が蝕む健康 サポルスキー 日本でも進む「格差と健康」研究  古田 彩/近藤尚己 格差が加速する環境破壊 ボイス
  • シン・ゴジラの科学

    映画『シン・ゴジラ』が大ヒットしている。現実のサイエンスを土台に,「巨大不明生物ゴジラ」というフィクションを立ち上げており,怪獣映画というよりも一級のSF作品として評価した方がふさわしい。製作に協力した研究者の1人は極限環境微生物の研究で知られ,「科学界のインディ・ジョーンズ」の異名を取る広島大学の長沼毅教授。放射線生物学者で,福島第1原発事故の際には専門家の立場からメディアで解説した東京工業大学の松義久准教授も協力している。今回,両博士のほか,深海生物全般に詳しい海洋研究開発機構(JAMSTEC)の藤倉克則上席研究員に話を聞き,『シン・ゴジラ』におけるサイエンスとフィクションを考える。 再録:別冊日経サイエンス254『SFを科学する 研究者が語る空想世界』 著者中島林彦 / 協力:長沼 毅 / 松義久 / 藤倉克則 中島は日経サイエンス編集長。 長沼は広島大学教授(大学院生物圏科学研

    シン・ゴジラの科学
    maturi
    maturi 2016/11/06
    日経サイエンス 16年12月号
  • エイズの治療薬を最速で出し続ける:満屋裕明

    治療薬の進歩は,エイズを死に至る病から慢性疾患に変えた 研究のスピードは,救える患者の命の数に直結する 4つの治療薬を作り,第5の薬を目指して日での臨床開発に乗り出す 満屋裕明は片時も立ち止まらない。医学部の古い研究棟の廊下を,ほとんど走るように歩く。人なつこい笑みを見せつつ早口で機関銃のように話し,相手はいつしかそのペースに乗せられている。熊と米国のベセスダ,東京・新宿の3カ所を飛び回り,スケジュールは常に分刻み。かつてエイズの最初の治療薬を世に送り出し,治療の基路線を決定づけ,今もこの分野の先頭を最速で走り続けている。(文中敬称略) ここ四半世紀で,エイズほど風景の変わった病気はないだろう。かつてエイズは死を意味していた。多くの若者や働き盛りが突然免疫機能を失い,体中を細菌やウイルスに蝕まれる。肺炎やがん,脳症に陥り,2年以内に9割近くが死亡する。それがエイズだった。 だが状況は

    エイズの治療薬を最速で出し続ける:満屋裕明
    maturi
    maturi 2015/10/09
    9割近くが死亡する。それがエイズだった。  だが状況は劇的に変わった。今では早期に治療を開始すれば,まず死ぬことはない。根治はできないが,エイズは25年で,「死に至る病」から「持病」のひとつになった。
  • ステレオタイプ脅威

    もし失敗したら,自分が属する社会集団に対する侮蔑的な固定観念を強めてしまう――という心配が「ステレオタイプ脅威」だ。例えば白人の若いスポーツ選手は黒人選手を下回る成績に終わるのではないかと恐れ,高等数学を学ぶ女性は男子学生よりも低い点をもらうのではないかと心配する。この不安にがんじがらめになると,学業やスポーツ,仕事で実力を発揮できず,成績が上がらない。ステレオタイプ脅威はどのように生じるのか,どうすれば対抗できるのか,そして発生をどうすれば防げるのか。近年の研究で理解が進んできた。比較的簡単な短時間の訓練を通じて自信を強めることにより,学業成績の格差が縮まる。米国の教育者たちは,こうした訓練を州規模に拡大しようとしている。 著者Ed Yong 英国を拠点に活動しているサイエンスライター。 Nature, Wired, National Geographic, New Scientistな

    ステレオタイプ脅威
  • カメの起源問題が決着〜日経サイエンス2013年8月号より

    遺伝子発現パターンの解析から,「発生砂時計モデル」の正しさも裏づけられた 昔話の主役やペットとしても馴染み深いカメ。甲羅をまとったユニークなその形態が関心を引くとともに,生物学では謎めいた存在にもなっていた。カメが原始的な爬虫類であるという説は当なのか。カメの甲羅は何から進化したのか−−。4月末に発表された研究成果は,カメの起源をめぐる論争を最新のゲノム解析に基づいて決着させ,同時に動物の個体発生と進化を結びつける理論の正しさを実証した。 研究を行ったのは,理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の倉谷滋グループディレクターと入江直樹研究員,中国ゲノム研究機関BGI,英国ウェルカムトラストサンガー研究所,欧州バイオインフォマティクス研究所などの国際共同研究グループ。Nature Genetics誌6月号に掲載された。 研究チームは超並列シーケンサーとショットガンシーケンス

    カメの起源問題が決着〜日経サイエンス2013年8月号より
  • ハイゼンベルクの不確定性原理を破った! 小澤の不等式を実験実証

    「小澤の不等式」。数学者の小澤正直・名古屋大学教授が2003年に提唱した,ハイゼンベルクの不確定性原理を修正する式です。小澤教授は30年近くにわたって「ハイゼンベルクの不確定性原理を破る測定は可能」と主張し続けてきましたが,このたびついに,ウィーン工科大学の長谷川祐司准教授のグループによる実験で実証されました。15日(英国時間)付のNature Physics電子版に掲載されます。 小澤の式とはどんなものでしょうか? まず,物理の教科書をおさらいすると,1927年にハイゼンベルクが提唱した不確定性原理の式は,こんな形をしています。 εqηp ≧ h/4π  (hはプランク定数,最後の文字は円周率のパイ) εqは測定する物体の位置の誤差,ηpは位置を測定したことによって物体の運動量に生じる乱れです。もし位置が誤差ゼロで測定できたら運動量の乱れは無限大になり,測定してもめちゃくちゃな値がランダ

    ハイゼンベルクの不確定性原理を破った! 小澤の不等式を実験実証
    maturi
    maturi 2012/01/16
    サイコロをふらない
  • 氷表面の謎を解く

    氷の表面は,融点の0℃よりかなり低い温度でも,凍らない水の膜に覆われていることがわかってきた。これによってスケートの滑りやすさから雷雲の帯電現象までをきれいに説明できるようになった。 氷の表面が融点以下の温度でも液体状の水で覆われているのは,「表面融解」とよばれる現象だ。スケートが滑りやすいのは氷がスケートで押しつぶされ,液体状になるからと説明されてきたが,氷表面のミクロの状態を調べると,圧力がなくても表面が液体状になっていることが判明した。 寒冷地では地面が凍結によって隆起する「凍上現象」がみられるが,これもこの表面融解で説明できる。さらに雷雲の上部がプラス,下部がマイナスに帯電する現象も表面融解の状態にある氷結晶の衝突が引き起こすことが示された。 著者John S. Wettlaufer / J. Greg Dash 2人ともワシントン大学の物理学者で,共同で研究することが多い。共同研

    氷表面の謎を解く
    maturi
    maturi 2012/01/13
    "氷の表面が融点以下の温度でも液体状の水で覆われているのは,「表面融解」とよばれる現象だ。氷表面のミクロの状態を調べると,スケートの圧力がなくても表面が液体状になっていることが判明した。"
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