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ブックマーク / www.saiusaruzzz.com (10)

  • 「蠅の王」の新訳と旧訳の読み比べをしながら、翻訳について考えたこと。 - うさるの厨二病な読書日記

    2017年にウィアリアム・ゴールディングの「蠅の王」の新訳が出たので、購入して読んでみた。 蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫) 作者: ウィリアムゴールディング,William Golding,黒原敏行 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/04/20 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る 細かく読み比べた一章だけをとっても、旧訳(平井正穂訳)と新訳(黒原敏行訳)では印象がまったく違う。 ひとつひとつの訳文を読むだけだと些細な違いなのだが、その積み重ねで話の中でどこにフォーカスしているかの違いが浮かび上がってきて、別の話のように読める。 初読の人にどちらがおススメか、と言われれば新訳を推す。 旧訳は固い言い回しが多く、読みづらい。新訳は問題点に意識的に陰影をつけていて、物語を理解しやすいなどの利点が多い。 旧訳には旧訳のいいところがあり、この点、この部

    「蠅の王」の新訳と旧訳の読み比べをしながら、翻訳について考えたこと。 - うさるの厨二病な読書日記
    maturi
    maturi 2024/03/05
    縄の玉
  • 「自分が自分であるという地獄」を、銀河英雄伝説のアーサー・リンチから学ぶ。 - うさるの厨二病な読書日記

    最近、頻繁にお邪魔させていただいているブログがある。 「銀河英雄伝説」の感想を書かれている、妙香さんのファイログというブログ。(*末尾追記参照) 一話ごとに丁寧に粗筋と感想を書かれているので、見ていない人でもちゃんと楽しめる。毎回、楽しんで読ませていただいている。 ぜひぜひ、多くの人に読んで銀河英雄伝説を知って欲しいなあと思う。 「銀河英雄伝説」ついては、当ブログでも何回か触れている。 www.saiusaruzzz.com 「銀河英雄伝説」を初めて読んだのは、中学生のとき。魅力的なキャラクターが織りなす練りこまれた歴史ドラマを、夢中になって読んだ。 そのあと、成長するにつれて「結局、これって勧善懲悪の話じゃないか」と思って少し冷めた目で見るようになった。 それから何年もたったあと、社会に出て働き、ひと段落したころにもう一度読み直すと、抜群に面白い。 社会を経験した大人には読むにたえない子

    「自分が自分であるという地獄」を、銀河英雄伝説のアーサー・リンチから学ぶ。 - うさるの厨二病な読書日記
  • 「人間の真価は自分自身でさえギリギリまで分からない」。「銀河英雄伝説」ウォルター・アイランズから学ぶ。 - うさるの厨二病な読書日記

    ウォルター・アイランズは権力機構にひそむ寄生虫だった。 田中芳樹の大人気SF小説「銀河英雄伝説」に、ウォルター・アイランズという登場人物が出てくる。 (引用元:「銀河英雄伝説」©田中芳樹/徳間書店) 「銀河英雄伝説」は、専制君主国家である銀河帝国と民主主義国家である自由惑星同盟が宇宙の覇権をかけて、長い戦争をしている物語だ。 この二つの国は、長い年月の中でどちらも腐敗している。 銀河帝国は貴族の横暴がひどく民衆が虐げられているし、自由惑星同盟は政治家の腐敗がひどく、終わらぬ戦争のために労働人口が激減している。 この自由惑星同盟の国家元首となる、ヨブ・トリューニヒトという悪徳政治家がいる。 戦争を賛美することで国民の人気者になっているが、国のことなんてまったく考えていない。自分の保身と利権のことしか頭にない。「悪い政治家」を絵に描いたような男だ。 自由惑星同盟側の主人公であるヤン・ウェンリー

    「人間の真価は自分自身でさえギリギリまで分からない」。「銀河英雄伝説」ウォルター・アイランズから学ぶ。 - うさるの厨二病な読書日記
  • 初めて読んでから十年以上たって、今さら思い至った井上雄彦「スラムダンク」の本当のすごさ。 - うさるの厨二病な読書日記

    「辺獄のシュヴェスタ」を読んだら、唐突に「スラムダンク」を思い出した。 以前、「魔法少女まどか☆マギカ」と「ベルセルク(黄金時代)」は似ているという記事を書いたのだけれど、それと同じような感覚でカテゴライズしたとき「辺獄のシュヴェスタ」と「スラムダンク」は似ているなあ、と思ったのだ。 「スラムダンク」の「どのあたりがすごいと思うのか」は、色々と意見があると思う。 自分にも「『スラムダンク』の当のすごさや、他の漫画と一線を画す特徴はこの点にあるんじゃないか」ということに関して、漠然とした自分なりの考えがあった。それが上手く言語化できていなかった。 「辺獄のシュヴェスタ」を読んでいて、唐突に「ああ、ここだ」と思いついた。 他の漫画にはない「スラムダンク」の大きな特徴は、「登場人物を描くときに情報を付け加えていくのではなく、限定するという手法をとっている」ところだと思う。 「スラムダンク」の主

    初めて読んでから十年以上たって、今さら思い至った井上雄彦「スラムダンク」の本当のすごさ。 - うさるの厨二病な読書日記
    maturi
    maturi 2020/02/09
    逆投射すると、そこ(”山王戦のクライマックスはセリフがほぼなかった”)までいってしまうと、そこが最終回にならざるを得ないということでもあるんだな
  • 河原和音「素敵な彼氏」の感想と、少女漫画の「王道」について考えたこと。 - うさるの厨二病な読書日記

    「高校デビュー」や「青空エール」、「俺物語」の原作で有名な河原和音が描いた「素敵な彼氏」を既刊6卷まで読んでみた。 素敵な彼氏 1 (マーガレットコミックス) posted with ヨメレバ 河原 和音 集英社 2016-05-25 Amazon Kindle 巧みな職人芸で、「王道」を描いている。 「少女漫画の王道」とは何なのか。 「少女漫画の王道」では「エクスキューズ」が重要。 ということを踏まえての「素敵な彼氏」の感想 「王道の少女漫画」ひと言感想 巧みな職人芸で、「王道」を描いている。 ひと言で言えば、「少女漫画の王道」だ。 個人的には、河原和音ほど実績があり色々なジャンルが描ける漫画家が、今更なぜこれを描いたのだろうと首をひねった。 「俺物語」「青空エール」と変化球が続いたので、「今度は王道を」と思ったのかもしれない。 自分が受けた印象では、かなり肩の力を抜いて気楽に描いている

    河原和音「素敵な彼氏」の感想と、少女漫画の「王道」について考えたこと。 - うさるの厨二病な読書日記
  • 「ブラック・エンジェルズ」の男女観は、当時としては革新的だったのかもしれない。 - うさるの厨二病な読書日記

    少し前に、少年漫画に出てくるステレオタイプな女性キャラについての話題を読んだ。 創作においては、ある程度はキャラの造形が現実とはかけ離れた、画一的な部分があっても仕方がないのではと思っている。少女漫画における男性キャラについてもそうだ。 キャラというのは、極端に言えばその創作物の部品に過ぎないので、現実の価値観で良し悪しを語るというのは余り好きではない。 ということを前提として、確かに少年漫画で「この女性キャラは魅力がないなあ」と思うことはあるし、「性差の価値観が残念だな」と思うことも多い。 かなり前の漫画なので仕方がないのだが、「北斗の拳」は漫画としては大好きだが、女性キャラの描き方や扱いは残念だ。 レイがマミヤの服を破いて、「女は戦う必要はない」「女は自分の幸せだけ考えていればいいんだ」というシーンは何度読んでもげんなりする。 レイの言葉に対するマミヤの返答が「女を捨てた」というところ

    maturi
    maturi 2018/12/25
    悪の集団の女ボス(黒幕)の古典でいうと「スケバン刑事」があったらしい(実質少年漫画みたいな話らしい)
  • 「君に届け」にみる女子のプリンセス願望と、女性にとっての自己実現。 - うさるの厨二病な読書日記

    先日読んだこの記事が面白く、とても興味深かった。 papuriko.hatenablog.com 自分が理解した限りでは、「闇を抱える男性から、どんな目に合わされても超人的な耐久心で耐え、傷ついたその男性の心を母性で癒すことで、いつかその人のオンリーワンになれる。そういうファンタジーによって、不幸になっている女性が存在する」という話だった。そういった女性の恋愛観に影響を与えた漫画として、「彼氏彼女の事情」と「フルーツバスケット」という人気漫画があげられている。 この幻想にはまる女性がなぜ、それを幻想とは気づかずいつかかなう現実だと信じるのか。 この幻想は男性側からも十分、成立しうるからだと思う。成立しうるのだからファンタジーとは言い切れない。それが厄介な点だ。 男性側から成立している例として、ブコメでベルセルクのガッツとキャスカの例をあげていた人がいたが、自分の意見としてはこの典型例はダイ

    「君に届け」にみる女子のプリンセス願望と、女性にとっての自己実現。 - うさるの厨二病な読書日記
  • 【ネタバレ注意】「シュヴァルツェスマーケン」と「破妖の剣」に共通する現象「主人公教」は、物語を蝕み破壊する病だ。 - うさるの厨二病な読書日記

    「シュヴァルツェスマーケン」を読んでいるのだが、主人公テオドールの言動にだいぶイライラしている。 何かに似ているなと思ったら、「破妖の剣」にそっくりだ。 「シュヴァルツェスマーケン」の主人公テオドールの周囲で起こった現象と、「破妖の剣」の主人公ラスの周囲で起こった現象は同じものだと思った。 ・主人公が行き当たりばったりのその場しのぎの言動をするので、言っていることがコロコロ変わる。 ・その理由を人は「誰も傷つけたくない」とか「誰も失いたくない」「みんな守る」とか綺麗で抽象的な言葉でまとめる。 ・その行動は、「ただ単に何も考えずその場しのぎの判断」「優柔不断で誰にでもいい顔がしたいだけ」にしか見えないのだが、何故か主人公の周りの人間は「テオドールは優しいから」「ラスは優しいから」(←驚くくらいそっくりだ)と解釈する。 ・利害が対立する人間すべてを守りきることなどできないので、当然のごとく周

    【ネタバレ注意】「シュヴァルツェスマーケン」と「破妖の剣」に共通する現象「主人公教」は、物語を蝕み破壊する病だ。 - うさるの厨二病な読書日記
  • 【アニメ映画】岡田麿里初監督作品「さよならの朝に約束の花をかざろう」感想 - うさるの厨二病な読書日記

    2018年2月24日(土)に公開された、岡田麿里初監督作品「さよならの朝に約束の花をかざろう」を映画館で見てきた。 映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』公式サイト 「イオルフという不老長寿の伝説の種族がいる。彼らの不老長寿の血を狙って、大国メサーテが侵略してくる。壊滅した故郷から逃げ出したイオルフの少女マキアは、両親を殺された人間の子供エリアルを拾い、二人で生きていく」 というのが、ざっくりとしたあらすじ。 主人公マキアのポストカードが、来場特典だった。 (©P.A.WORKS) メインターゲットに、どんな層を想定しているのか疑問だった 平日の昼に観に行って、観客は20名強くらいだった。 開始五分で物語に引き込まれる この映画ですごいと思ったところ 「人は、他人との関係性の中で生きている」 キャラクターについて メインターゲットに、どんな層を想定しているのか疑問だった 公式のホームぺー

    【アニメ映画】岡田麿里初監督作品「さよならの朝に約束の花をかざろう」感想 - うさるの厨二病な読書日記
    maturi
    maturi 2018/03/02
    ”一番すごいと思ったところは、「物語に絶対に必要なものと必要でないもの」の見極めが上手い点だ。 必要なことは全て説明され、物語にいらないものは一切入れられていない。”
  • 物語における「信頼のできない語り手」の技法と、語り手としてのブロガー考。 - うさるの厨二病な読書日記

    「信頼のできない語り手」とは。 「信頼のできない語り手」という技法を用いている物語があります。 主に推理小説やサスペンス、ホラーなどのジャンルに用いられる技法です。 「信頼のできない語り手」に物語を語らせることによって、物語自体にトリックをしかける、物語を重層化する、物語の世界観を不安定にして読み手に不安感を与える、真相やテーマを考えてもらい、テーマをより強調する、などのために用いることが多いです。 当ブログでも過去に取り上げたことがある桐野夏生「グロテスク」も、「信頼のできない語り手」を用いています。 www.saiusaruzzz.com 「信頼のできない語り手」が一番うまく作用している小説は…。 「信頼のできない語り手」が最も上手く作用している、と思う物語は、エミリ・ブロンテの「嵐が丘」です。 有名な物語なので、読んだことがない人の中には「ロマンチックな恋愛小説」というイメージを持っ

    物語における「信頼のできない語り手」の技法と、語り手としてのブロガー考。 - うさるの厨二病な読書日記
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