12月23日の講義で述べたストルパー=サミュエルソン定理は、ある財の価格が上昇するとき、その財に集約的に投入されている生産要素の価格が上昇する一方で、そうでない生産要素の価格は低下するというものであった。 このストルパー=サミュエルソン定理は、最近では先進国内の格差拡大の説明として使われることが多い。 代表されるのがノーベル経済学賞受賞者であるクルーグマンの議論だ(Krugman(2008) "Trade and Wages, Reconsidered")。 クルーグマンは、中国をはじめとする新興国との貿易の拡大が、米国内における労働分配率の低下をもたらし、労働者と資本家の所得格差の拡大をもたらしていると主張する。 新興国から米国が輸入している製品は労働集約財が中心であり、新興国からの輸入の増加による労働集約財価格の低下は、ストルパー=サミュエルソン定理を考えると労働賃金の低下と資本レンタ