ロッテ・レーマンは1888年現在の東独ペルレベルクに生れ、第二次大戦中アメリカ市民となり、1976年8月アメリカ西海岸サンタ・バーバラで88歳の生涯を閉じた。本書第一部は、この20世紀前半の最大のソプラノ歌手の自伝であって、長い期間にわたるオペラ歴を通じて、ヨーロッパ、アメリカの大劇場で、そして大指揮者たちによって、ヒロインを歌い、女優を演じた。シャルク、ワルダー、シュトラウス、トスカニーニなどの大指揮者、大作曲家などとの出会い。ブルーノ・ワルターはその自伝のなかでこう語っている。「ロッテ・レーマンの扮した『バラの騎士』の元帥夫人からは、同時代のオペラ舞台のもっとも意義ある業績のひとつが光を放っていた。そのとき私は、芸術家と文学上の人物とが一致するというあの稀な現象に出会った」と。 第二部は、彼女の音楽生活に登場したヒロインたちの個々の実例に即して、その役割を演ずる上での、彼女の解釈と体験
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