まず「あいりん地区を知る1冊」として 正直なところ、「釜ヶ崎」、あいりん地区がどうなっているのか、ぼくはよく知らなかった。 「日雇い労働者の街」というイメージもあり、少なくともぼくが左翼運動に加わった1980年代にはたしかにそういうイメージ通りの活動が行われていた。 だけど、今でもそうなのか? これが素朴な疑問。 建設現場で人手不足が聞こえる現在、若い日雇い労働者がどんどん供給されて、建設現場で調整弁のように吸い込まれ、吐き出されているのか? うーん、そんなことないだろう。 となれば、日雇い労働者がいなくなり、街はゴーストタウン? それとも、かつての日雇い労働者が高齢者になって生活保護受給者の街に?……というのが、うすうすの予感。このあたりまで想像してみた。 まず本書には、「釜ヶ崎」、あいりん地区が戦前から戦後にかけてどういう街として変化したかが、研究をたどる形でコンパクトに書かれている。