2015年のノーベル医学生理学賞に、北里大学特別栄誉教授の大村智氏が選ばれました。大村氏らによる研究で、のちに寄生虫感染症の治療薬「イベルメクチン」が何億人もの人を救う業績に結び付いた、1979年の論文を紹介します。 ◆伊東市の土に、アベルメクチンを作る細菌が住んでいた この研究の当時、寄生虫を駆除する薬が研究されていましたが、効果が見られた物質は限られていました。研究班は、静岡県伊東市の土から見つかった「ストレプトミセス・アベルミチリス」という放線菌の一種から作られる物質が、それまでに知られていた物質とは違ったメカニズムで、寄生虫を殺す作用を持っていることを発見しました。詳しい分析の結果、作用する物質群が特定され、アベルメクチンと名付けられました。 ◆アベルメクチンの研究とその後 アベルメクチンは、実験的に線虫に感染させたヒツジやウシなどの動物に与えると、95%以上を駆除する効果を示しま
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