今は亡き実家の母、認知症が進行し要介護となった姑。 母親であること、妻であること、そして女性として生きていくということ。 『兄の終い』『全員悪人』『家族』がロングセラー、最新刊『本を読んだら散歩に行こう』も好評の村井理子さんが、実母と義母、ふたりの女性の人生を綴ります。 イラスト:樋口たつ乃 娘というか………まあ、一応娘ですよ 義母はいつも、自宅で首を長くして私が訪ねて来るのを待っている。車を停め、スーパーで買い込んだ食料品の入った袋を手にし、玄関を開けて入って行くと、車の音に気づいた義母が急いで出迎えに来る。私の顔を見て、一瞬、困惑した表情をする。ヘルパーさんと間違えられる回数が増えてきたのだ。私が「お義母かあさん、こんにちは。食事を持ってきましたよ」と声をかけると、はっと驚き、そして「ああ、あなただったの! 来てくれてうれしい! やっと来てくれた」と笑顔を見せる。ずっと待っていたのよと
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