「党に迷惑はかけられない。離党させていただきたい」-。10月31日夜、大阪維新の会顧問を務める吹田市の井上哲也市長(55)は、松井一郎大阪府知事に、電話でこう切り出した。市発注の随意契約をめぐり、後援企業との不適切な関係が浮上したからだ。解散総選挙が目前に迫り、政局が慌ただしさを増す中、「維新」は、結成以来初の本格的な不祥事に見舞われた格好だ。「偽装」の始まり 吹田市は今年2月、環境省による地球温暖化対策や地域の雇用創設のための「地域グリーンニューディール基金」からの補助金約5850万円の一部を使い、市庁舎照明のLED化▽窓ガラスへの断熱フィルム貼付▽屋上の遮熱塗布-の3事業の入札を行った。 ところが、落札価格は予定価格を計約2100万円も下回った。予定価格を決めるための見積書はそれぞれ1社からしかとっておらず、市議会の追及や国の会計検査で問題になりかねなかった。「複数の業者から見積書をと