Jリーグ発足以来、毎年のように優勝争いに絡み、昨季ついに13冠目のタイトルを獲得した。茨城の片田舎にあるクラブが常勝軍団となりえた背景には、“神様”ジーコがもたらしたプロ精神の継承、そしてチームを支えるフロントの驕ることなき緻密な戦略があった。 2009年、暮れ――。 イビチャ・オシムはオーストリアに帰るチケットを手に、11カ月ぶりに訪れた日本を離れようとしていた。成田空港のロビーで記者たちに囲まれると、ゆっくりと椅子に腰を下ろしてから語り始めた。老将は話題の中心をJリーグのあるクラブに置いた。 「まさに日本的バルセロナという戦い方だ。チームとしてのまとまり方、積極的なプレー、そして試合を勝利で終わらせるためのあのような知性を、日本代表にも持ってほしい」 いつもは辛口で知られるオシムには珍しく、礼賛の言葉が並んだ。「カシマ」という単語が弾むように何度も口をついて出た。 鹿島アントラーズは昨