以前、と言っても2,3年ほど前に服部真理子という人の短歌に惹かれて、雑誌を何冊か買ったことを思い出した。 調べてみると今ではこの人は歌壇賞という賞を獲っている。 検索してかき集めると、この人の短歌をあっという間に五十首くらいは揃えることができる。 それをそのままドバッとこのブログに載せてしまうのはいかがなものかと思うので、絞りに絞って十首だけ紹介してみたい。 どの町にも海抜がありわたくしが選ばずに来たすべてのものよ 塩の柱となるべき我らおだやかな夏のひと日にすだちを絞る 金貨ほどの灯をのせているいつの日か君がなくしてしまうライター 草原を梳いてやまない風の指あなたが行けと言うなら行こう 天国がどこにあっても蹄鉄がきっと光っているから分かる 回るたびこの世に秋を引き寄せるスポークきらりきらりと回る おだやかに下ってゆけり祖母の舟われらを右岸と左岸に分けて けれど私は鳥の死を見たことがない 白