いくつかの偶然は偶然を重ねて、やがて必然となっていった――。 NHK55作目の朝ドラとして、その企画が始まったのは1995年の春頃だったようである。 その年の1月17日は、阪神大震災が起きた日であり、関西いや日本中が震災の被害の行方を案じてい た。刻々と増えていく死者行方不明者、"ライフライン"の崩壊など、不景気の日本を襲った凄まじい天災 だった。 その震災当時、放送していた朝ドラは『春よ、来い』。放送70周年記念番組としてAK(NHK東京)で 制作され、1994年10月~1995年9月まで1年間放送されていた。 その春BK(NHK大阪)では、1995年10月から放送される次期朝ドラ『走らんか!』の収録が始まろうとし ていた。ちょうどそんな時に、1996年度後期朝ドラの企画を任命されたのは二瓶亙チーフプロデューサー と長沖渉チーフディレクターのダブル"ワタル"だった。 朝ドラは1年のうち、