2013年の3月、ある発表が科学界を駆け巡りました。 それまでは理論上の存在にすぎなかった、ヒッグス粒子と呼ばれる素粒子が実在することが確認されたのです。その発見がなされたのは、欧州原子核研究機構の大型ハドロン衝突型加速器、通称LHC。この粒子加速器を用いて、光速付近まで加速した陽子などの粒子同士を正面衝突させて、その分解物からヒッグス粒子の存在を突き止めたのです。 ほぼ光速で動く粒子を手に取って観察してみたいと思うのは、科学に興味がある人間としては当然のことでしょう。人類の科学力の結晶とも言えるこの粒子加速器ですが、その中に手を伸ばしてみると、何が起きるのでしょうか。あなたの手、そして身体は無事でいられるのでしょうか。 今回は、粒子加速器に手を突っ込むとどうなるのかについてご紹介したいと思います。 まず、粒子加速器についてご紹介しましょう。粒子加速器とは、電磁場を用いて電気を帯びた粒子を