日本原子力研究開発機構、東北大学、東京大学、京都産業大学らの共同研究グループは、見かけ上、大きな質量を持つ「重い電子」が、作るフェルミ面を直接観測することに成功したことを明らかにした。これにより、重い電子が担う電気伝導の性質をさまざまな金属ごとに判別することが可能になるという。 金属中の電子は、動き回って電気伝導を担う「遍歴電子」と、動き回らずに磁性を担う「局在電子」に分けられる。今回の研究対象である金属はf電子系化合物で、局在電子としての性質を持つf電子が電気伝導を担う遍歴電子と相互作用して混じり合うことで、磁性と共存する超伝導となると考えられているのに加え、見かけ上、通常の電子の10〜1000倍ほど重くなったように見える重い電子が発現する。 このf電子が変容した重い電子の物性発現機構を理解するためには、f電子の持つ「2面性(遍歴/局在性)」により生み出された重い電子がどのように動くかを