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文学に関するmerecoのブックマーク (2)

  • 『印旛沼、まぼろしの乙女』(1)- ぼんやり上手

    一、沼の目覚めたあとで 印旛沼はいまや自由に姿かたちを変える生き物だった。まるまるひと月降り続けた長い雨のあと、ところどころにくびれふくらんだ沼の形は鼻先の長い飢えた野犬のようだ。 田沼意次公が着手し、長い歴史をかけて完成した干拓工事によって、沼は長らくおだやかな眠りについていたはずだった。けれどもあの忌まわしい関東地獄によって大地が裂け、堤防が決壊し、沼はぐずぐすと音を立てて来の老獪さを取り戻した。猛々しい能に目覚め、そこに暮らす人間たちに忍び寄り不意打ちを喰らわせては楽しんだ。 印旛沼が暴れだすと、サイレンがうなりをあげる。住民は着の身着のまま、貴重品を詰めたリュックサックをかついで公民館や小学校の体育館に避難し、ロウソクや懐中電灯の灯りのもと、そこで幾晩も夜を明かすことになる。 これは季節ごとの恒例行事のようになっていた。運が良ければ床上浸水、悪ければ家が淀んだ沼の底に沈んだ。も

    『印旛沼、まぼろしの乙女』(1)- ぼんやり上手
  • 知られざる世界5大小説 - ココロ社

    「世界10大小説」という記事が流行しているようなので、ぼくも便乗して世界5大小説を挙げたいと思います。 キリストノミコト 時は明治。仏教を撲滅し、国家神道の浸透をダメ押しするため、明治新政府の切り札として投入された変態仏師・円艶。彼は円空が日各地に遺した仏像をすべて神像に彫り直すことで土着の仏教を根絶やしにしようとしたが、そこに現れたのが、ペリー提督の息がかかったキリシタン特殊暗殺部隊。彼らは混乱に乗じてキリスト教を一気に広めようと、独自に編み出したキリシタン拳法で円艶を暗殺せんとし、血で血を洗う戦いが始まった―という感動巨編。 赤い魚の子 女性教師の家に忍び込んで盛大に射精したことで捕まり、24時間体制で動物のビデオを見るという厳罰に処されていた中学生・橋。「更正させる」と嘘をついて彼を引き取ったのは、元・人間魚雷のパイロットだった。悲劇の兵器『回天』を平和利用しようと考えた老人は、

    知られざる世界5大小説 - ココロ社
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