私がヒロに出会ったのは3年前の寒い冬の日だった。あの頃私は世田谷の大学教授のおうちに飼われていて、毎日窓から外を眺めては、翼が欲しい、自由になりたい、ってずっと思ってた。でも飛び出す勇気がなかった。冬の寒さがどんなものだか知らなくて、生まれたての子猫のようにおびえてばかりいた。パパはあたしをとても可愛がってくれたけど、外に出るのを決して許してはくれなかった。そんなある日アイツが家に来た。白いスピッツ。アイツはいつでもキャンキャン鳴いて、しっぽをぶんぶん振ってすぐに私に代わって家族の人気者になってしまった。私のトイレは玄関から勝手口に移された。エサ箱はダイニングから台所、冷蔵庫の脇。ブンブンうなるモーターの音を聞きながらひとりで冷えた猫マンマ食べていると淋しくて涙がとまらなかった。この世界には私しかいない気がして、自分のことが大嫌いになった。つらくって体をなめてばかりで、しょっちゅう毛玉をの