履歴書を見て「何も悩みなんかないでしょう」と言われていた若かりし頃、 「なんの苦労も知らない人に、他人の痛みなんてわからない」なんて言葉をぶつけられていた頃、東京で公務員として働いていた。 履歴書だけを見れば、何の苦労もせずにスクスク育った田舎の優等生が、意気揚々と上京してきたように見えたのかもしれない。 自分では、その時その時の「テッペンを目指してやる!」と思っていた。当時の頭で「イメージ可能なテッペン」だけど。 飛び出したくて、戻りたくなくて、田舎の実家、故郷を離れ、ようやく大都会の東京に出てこられた喜びから数年。 なぜ公務員を辞めたのか、理由は自分でもハッキリ言葉にならない。 「自分の今後の人生を色々と思い悩んだ結果」だけれど、単に力不足だったり、「逃げ」だとか「若気の至り」とか、「考えが浅はかだ」と言われれば、確かにそうかもしれなかった。 ある日の深夜、仕事を終え、寮の敷地に足を踏