絶滅危惧種というとトキやイリオモテヤマネコなどの稀少動物を思い浮かべるかも知れないが、絶滅しそうなのは生物ばかりではない。大変にまれな珍しい絶滅危惧種のような生態系がある。しかもアマゾンの熱帯雨林の中ではなく、東京からほど近い三浦半島の先にだ。 その生態系は油壺のマリーナから少し入った小網代にある。 「わずか2km程度ですが、川の最上流から下流の河口干潟までが自然の状態で残っているんです。そういう場所は関東近郊ではここだけです。東京のような大都市圏の川としては、実は世界でもまれな例かもしれません」 話をしてくれたのは、NPO小網代野外活動調整会議の理事である柳瀬博一さんだ。今なお豊かで多様な自然を満喫できる小網代であるが、途中開発の危機にも直面したこともあった。 「先生がいなければ、開発されてしまっていたでしょう」 先生とは小網代野外活動調整会議の代表理事であり、進化生態学を専門とする慶應