魏延は諸葛亮の部下でもあり、同時にまた、同僚でもある。そのことを忘れてる人が多いような気がする。 魏延の役職は、前軍師・征西大将軍。この前軍師というのが丞相府の役職で、これだけを見れば諸葛亮の部下ということになるけど、征西大将軍というのは皇帝直轄の将軍職で、この役職については諸葛亮の下知を受ける立場ではない。 楊儀だの蔣琬だの費禕だの姜維だの王平だのってのは、みんな丞相府で頭角をあらわした身内同士であって、彼らから見れば、征西大将軍の魏延なんてのは外様にすぎず、それが前軍師だなんだと言って丞相府に入ってきたら、何様のつもりだ、という感情になってくるはず。 この関係を日本の関ヶ原戦役にあてはめると、諸葛亮が豊臣秀吉、魏延が徳川家康、楊儀が石田三成、蔣琬・費禕らが五奉行、姜維・王平らが七本鑓といったところ。馬岱は外様の有力武将の子弟で、さしずめ前田利長あたり。諸葛亮の後任として漢中を守った呉懿