ブックマーク / hiko1985.hatenablog.com (10)

  • 福澤克雄『VIVANT』 - 青春ゾンビ

    TBSドラマ『VIVANT』がおおいに盛り上がっている。個人的には心の1になるような作品ではないけども、“テレビドラマ”というジャンルを愛好するものとしてはテレビが巻き起こす、この熱狂がとてもうれしい。実際のところ、おもしろいのだ。ツッコミどころ満載ながらも、莫大な予算感の壮大なスケールで黙らされてしまう。このおもしろさと支持のされ方の秘訣は、『VIVANT』に息づく “浦沢直樹”感ではないだろうか。『MASTERキートン』『MONSTER』『20世紀少年』・・・モチーフやルック、謎が謎を呼び伏線を回収していく筋運びなどがどこか似ていて、この国のエンターテインメントの中道とでも言うべき浦沢直樹作品との相似が、『VIVANT』の圧倒的な大衆性を支えているように思う。*1 登場人物たちが常にマージナルな立ち位置を貫いているのもおもしろい。乃木(堺雅人)は、野崎(阿部寛)は、ノーゴン・ベキ(役

    福澤克雄『VIVANT』 - 青春ゾンビ
    mi00
    mi00 2023/09/06
    この手のわざとらしいドラマは苦手だったんだけど、壮大さとキャラ造形が突き抜けててつい楽しく追ってしまっているので青春ゾンビが言語化してくれていて嬉しい。ドラムがドラム(本名)なのは初めて知りました
  • 生方美久『silent』1~5話 - 青春ゾンビ

    言葉はまるで雪の結晶 君にプレゼントしたくても 夢中になればなるほどに 形は崩れ落ちて溶けていって 消えてしまうけど でも僕が選ぶ言葉が そこに託された“想い”が 君の胸を震わすのを諦められない 愛してるよりも“愛”が届くまで Official髭男dism「Subtitle」 佐倉想(目黒連)が読み上げる作文の冒頭の「言葉はなんのためにあるのか?」に導かれるように、このドラマは“言葉”を巡る物語である。しかし、その脚の筆さばきは、言葉というものの力をむやみやたらに祭り上げるというのではなく、どこか言葉の“不確かさ”、“信用ならなさ“に重きを置いているように思う。たとえば、想がひた隠しにしていた秘密の漏洩は、萌(桜田ひより)が湊斗(鈴鹿央士)に問いかけた「湊斗くんってさぁ、知ってるんだっけ?」というやりとりの言葉の不確かさが生み出してしまったものだ。また、特に重要であるのは1話冒頭の紬(川

    生方美久『silent』1~5話 - 青春ゾンビ
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    mi00 2022/11/05
    青春ゾンビのドラマ評、嬉しい。どこを読んでも3人の思い出が勝手に蘇ってしまう筆致…ながら見してたら見逃しそうな(橋はわからなかった)綺麗で感情が詰まった映像だなと思います
  • 坂元裕二『花束みたいな恋をした』 - 青春ゾンビ

    <A面> 絹(有村架純)が「この人はわたしに話しかけてくれている」と心酔するブログ『恋愛生存率』ではいつも同じテーマが綴られていた。それは、”はじまりはおわりのはじまり“。 出会いは常に別れを内在し、恋愛はパーティーのようにいつしか終わる。だから恋する者たちは好きなものを持ち寄ってテーブルを挟み、お喋りをし、その切なさを楽しむしかないのだ ある日、ブログの筆者である”めい“は恋に落ち、「数パーセントに満たない生存率の恋愛をわたしは生き残る」と綴ったその一年後に自ら命を絶ってしまう。 めいさんが死んだ 恋の死を見たんだろうか。その死に殉ずることにしたんだろうか。どれも想像に過ぎないし、そこに自分の恋愛を重ねるつもりはない としながらも、絹の頭には「どんな恋でも、いつしか必ず終わりを迎える」という諦念が刷り込まれている。麦(菅田将暉)が何気なく言ってのける「僕の人生の目標は絹ちゃんとの現状維持

    坂元裕二『花束みたいな恋をした』 - 青春ゾンビ
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    mi00 2021/02/05
    青春ゾンビにこの映画がどんなふうに書かれているか読みたくて見てきました/予告では二人の恋の形しか見えなかったので「劇中におけるポップカルチャーの羅列はリアリティを召喚するための単なる装置」とてもわかる
  • 最近のこと(2019/03/01〜) - 青春ゾンビ

    ここ最近のミューズは日向坂46なのです。メジャーデビューシングルの表題曲「キュン」がとてもかわいい曲でうれしい。今1番楽しみにしているテレビ番組は『ひらがな推し』で、3/17放送の「ヒット祈願駅伝」の"かとし"と"ひなのなの"の走りとお喋りにサトミツよろしく「ごめんねぇ」と涙しました。若林さんのおたけへの愛に嫉妬するかとしが大好物なので、もっと観たいものです。 EX (イーエックス) 大衆 2019年4月号 [雑誌] 作者:出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2019/03/15メディア: 雑誌オードリー史から眺める『ひらがな推し』について『EX大衆』にコラムを寄稿しました。良かったらお目通しくださいませ。当におもしろいバラエティ番組だと思います。『EX大衆』のスタッフインタビューによりますと、『内村プロデュース』出身のディレクターが制作しているらしい。ミューズと言えば、長濱ねるさんの欅

    最近のこと(2019/03/01〜) - 青春ゾンビ
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    mi00 2019/03/19
    ヒコさんのブログに日向坂46とひらがな推しの名前が出ることが嬉しい。EX大衆も買いました。
  • 新しい地図『72時間ホンネテレビ』 - 青春ゾンビ

    毎日みんなで口にするのは「ああ あいつも来てればなぁ」って 当に僕も同感だよ それだけが残念でしょうがないよ スチャダラパー「彼方からの手紙」 そこに”いない”と感じるってことは、実はむちゃくちゃ”いる”ということなのだ。『72時間ホンネテレビ』は3人としてスタートを切る番組ではなく、どこまでも5(6)人を諦めない、という意志のように思えた。ちなみに、上に引用したスチャダラパーの「彼方からの手紙」という曲はこう締めくくられる。 ぼくはすべてを把握した ここにこなけりゃぼくは一生 わからずじまいで過ごしていたよ あんがい桃源郷なんてのは ここのことかなってちょっと思った 君もはやく来たらと思う それだけ書いて筆を置く まさに桃源郷のような3日間だった。もちろん、72時間の内、8割方は既存のテレビ番組の冴えない企画の焼き増しで、「地上波放送じゃできない」という謳い文句は決して適切ではない(地

    新しい地図『72時間ホンネテレビ』 - 青春ゾンビ
    mi00
    mi00 2017/11/06
    こんなにハイコンテキストなメッセージのやりとりが世界となされているのなら未来は明るい気がするし、それが夢だけじゃないんじゃないのって思わせるアイドルの力
  • 坂元裕二『カルテット』最終話 - 青春ゾンビ

    『カルテット』がついに終わってしまった。なんたる幸福な3ヵ月であったことだろうか。坂元裕二の最高傑作か否かという判断は観終えたばかりなので留保するが、間違いなく『それでも、生きてゆく』(2011)、『最高の離婚』(2013)という燦然と輝くマスターピースに肩を並べる作品の誕生である。坂元裕二への強烈な愛を叫びながらも、作家としてのピークはもう過ぎてしまったのではないだろうか、と密かに案じていた自身を恥じ、そして喜びたい。『カルテット』ではこれまでの得意技を更に研ぎ澄まし、時代の空気に適応しながら、新しい領域に果敢に突入している。坂元裕二はまだまだ我々の心をおおいに揺らし続けてくれることだろう。さて、最終話ということですが、物語としてのピークは9話で終えていて、まさにエピローグという印象。これまで鳴らしてきたいくつかのテーマを丁寧に再確認しながらも、”永遠に終わらない”という稀有な感覚を画面

    坂元裕二『カルテット』最終話 - 青春ゾンビ
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    mi00 2017/03/23
    待ってた。大好き。
  • 坂元裕二『カルテット』8話 - 青春ゾンビ

    またしても心震えるような傑作回である。8話に到達してもなお、坂元裕二のペンが絶好調だ。例えば、「お義母さん!(駆け寄って)野沢菜ふりかけ」というギャグのようなシークエンス1つとっても、真紀(松たか子)にハグを期待してかわされる鏡子(もたいまさこ)に、同じく別れ際にハグをすかされた幹生(宮藤官九郎)の顔がチラつく。こういった些細な書き込みによって、鏡子というキャラクターに「あぁ彼女は幹生の母であるのだな」という実感が宿るのだ。こういった人間の小さな営みを積み重ねることのできる細部の充足こそが、坂元裕二の真骨頂だろう。穴釣り、冷え冷えの便座、穴の空いたストッキングと、今話においても”ドーナッツホール”のモチーフが活き活きと登場し、物語に華を添える。ナポリタンとブラウス、ナポリタンと粉チーズ、と”赤”と”白”の混ざりあいが提示されたり、すずめ(満島ひかり)にチェロを教えたという”白い髭のおじいさ

    坂元裕二『カルテット』8話 - 青春ゾンビ
    mi00
    mi00 2017/03/15
    叶わなかった恋も、告げられなかった恋も、破れた恋も、醒めてしまった恋も、一度発生した”好き”という想いは、等しく尊く、全てに意味がある/このレビュー回のレビューが1番愛がこもってて好きかも
  • 坂元裕二『カルテット』7話 - 青春ゾンビ

    素晴らしい!!6話ラストの怒涛の急展開をして、やはり『ファーゴ』なのか!?と盛り上がっているふりをしながらも、満島ひかりの「だいたい7話くらいで坂元さんは・・・ちょっとねぇ」という愚痴に共鳴している自分がいました。しかし、7話においても決しておかしな方向に舵を取らず、これまで積み上げてきたものを礎にしながら、物語が転がっていった事にホッと胸を撫でおろしております。物語の加速度はグングンと上がり、それらがカーチェイスアクションで発露されていく。めくるめくドライバーチェンジを積み重ねるカーアクションの連鎖(一体、この7話で何度の車の乗り下りがなされたのか)は出色の出来栄えだろう。6話、7話とすっかり蚊帳の外の男性陣もいい味を出している。倉庫に閉じ込められた別府(松田龍平)が通路に出した助けを求めるメモが無残にもひっくり返り、雪道でひっくり返っているピクニッククイズボードを家森(高橋一生)が拾う

    坂元裕二『カルテット』7話 - 青春ゾンビ
    mi00
    mi00 2017/03/07
    今日は次放送直前に読んだけどやはりすべてを腑に落としこんでくれる素晴らしいレビュー
  • 坂元裕二『カルテット』2話 - 青春ゾンビ

    言葉と気持ちは違うの! この家森諭高(高橋一生)の叫びがまさにこのドラマの見方を端的に示している。巻真紀(松たか子)が「わたし、弾けない」「無理です、わたし上手く弾けません」などと囁けば、次のカットでは必ずや活き活きとヴァイオリンを演奏する彼女の姿が見られる。喋る言葉が全てではない。人というのは、言葉とは裏腹、その仮面の下にはどんなものが蠢いているかわからない。ドーナッツの穴のように何かが欠けていて、思ったことを上手に言葉にできない不器用な大人達のラブサスペンスである作においてはなおのことだろう。当の”想い”は実に些細な身体の振動やその視線の先に、零れ落ちる。そんな坂元脚のミューズである満島ひかりの繊細な演技に割目せよ。別府司(松田龍平)の『人魚 対 半魚人』のDVDいじりが自分にも回ってくると思って差し出した手の動き(回ってくる前に巻が放り投げてしまう)、別府とベンチに並ぶ時に少し

    坂元裕二『カルテット』2話 - 青春ゾンビ
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    mi00 2017/02/01
    もういっかい2話が見たくなる
  • 坂元裕二『カルテット』1話 - 青春ゾンビ

    坂元裕二が脚を手掛ける新作ドラマ『カルテット』の放送が開始された。『問題のあるレストラン』(2015)にしても『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016)にしても意欲作であり、充分に我々の琴線を揺さぶってきたわけであるから、こういった言葉を用いるのは少々憚れるのであるが、あえてぶちまけよう。坂元裕二、完全復活!これは面白いですよ。謎が謎を呼ぶミステリーであり、まさに新機軸。しかし、心を隠しあった人間が集まり、“当のこと”を周到に隠しながら上滑りの会話をしていくというそのミステリーのありかたは、”わかりえなさ”を前提に掲げた坂元ドラマの質を捉えた形式のようにも思える。ここ数作では控え目であった、あのつんのめるように脱臼した会話劇が、全幅の信頼を寄せるに値する役者の集結によって、復活。発話や会話のリアリティもさることながら、「唐揚げにレモン」だとかいう、物語には到底なりえ

    坂元裕二『カルテット』1話 - 青春ゾンビ
    mi00
    mi00 2017/01/22
    『すずめが飲んでいる三角パックのコーヒー牛乳。『カルテット』なのに三角・・・と一瞬思うわけだが、正式名称を「テトラ・クラシック」と言い、”正四面体”である。』解剖りょくがすごい
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