一晩に救急車が10台来て、歩いてくる人が50人来て、寝る暇なく働いたという表現をすれば、それは大変だったのかもしれないと理解してもらえるが、それぞれ1台、5人であれば、つらさが10分の1になったような印象を与えてしまうため、それなら当直する回数を10倍にすれば同じ負担になるだろうと考えてしまうのが机上の計算である。10台50人月に2回に耐えられる医者ならば、1台5人月に20回も耐えられるのではないか、同じ労働負荷と考えるあたりから誤解は始まる。前者の方がはるかに楽だ。 休みの日であったとしても、病院から30分以内のところに常にいて、緊急手術だと言えばかけつけ、電話は常にとれるようにしておいて、出かけた先でも知り合いばかりで、たまたま今日は会わなかったと思っても、翌日には「先生昨日はどこそこにいたでしょ」と病院スタッフから声をかけられる、そんな環境に身を置き続けて、平気な人もいるだろうし、閉