4月10日に刊行した『ゲンロン16』から、東浩紀の論考「ウクライナと新しい戦時下」の冒頭部分を以下で公開しています。 2023年秋にウクライナを訪れた東。現地の取材から見えてきたのは、SNSが発達した消費社会が「戦時下」までもリアルタイムに飲み込んでいく姿でした。 本論考を含む小特集「ゲンロンが見たウクライナ」には、上田洋子による戦時下での芸術写真についての論考、映画『DAU. ナターシャ』で知られる映画監督イリヤ・フルジャノフスキー氏へのインタビュー、キーウ市民へのインタビューも収録されています。ぜひ『ゲンロン16』であわせてお楽しみください。 2023年の秋、ウクライナに一週間ほど滞在した。訪問は秘密にした。ウクライナはロシアと戦争中で、外務省から全面的な退避勧告が出ている。専門家でもジャーナリストでもないぼくのような人間が行くと公言すると、どう批判されるかわからないと思ったからだ。