平成の終わりが近づいている。といっても、元号が変わるだけで、生活にドラスティックな変化が訪れるわけではない。が、それでも、平成の世、もっと言えば日本がたどってきた道のりに思いを馳せてしまう人は多いのではないか。受け継がれてきた行事や慣習も一つの節目だ。どんな時代が来ようと大切に守っていかねばならない、でも中にはなんかモヤモヤするものもある――もしかしたら、今こそがそうした「日本の伝統」をちょっと離れて考えてみるのに最適な時かもしれない。 本書『「日本の伝統」という幻想』は、昨年11月末に上梓された『「日本の伝統」の正体』に続く第二弾である。『「日本の伝統」の正体』は、日本にある伝統と呼ばれるものの多くが実は明治時代以降の発明であることを調べ分類した一冊で、発売後反響を呼んだ(詳しくは筆者のレビューと著者インタビューをお読みいただきたい)。伝統という言葉の持つ魔力を読み解かんとしたこの前作を
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