関西国際空港は騒音問題を抱えた大阪(伊丹)空港の教訓を踏まえ、大阪・泉州沖5キロの平均水深約20メートルの海上を埋め立て、完全人工島を出現させた。巨額の資金が投じられ、最大で約1兆2千億円の有利子負債を抱える宿命を背負った。 相次ぐ「災厄」世紀の難工事は話題となり、平成元年に公開された大森一樹監督の映画「ゴジラVSビオランテ」では埋め立て中の関空島の眼前に、災厄のメタファー(暗喩)とされるゴジラが出現した。作中では被害を免れたが、巨額負債という〝災厄〟が関空経営の重荷となった。 航空機の着陸料はアジアのライバル、韓国・仁川(インチョン)空港、シンガポール・チャンギ空港の3倍近くに高止まりし、新関空会社初代社長、安藤圭一は「高い着陸料で路線誘致がはかどらず、旅客は増えない。空港の商業施設の売り上げも先細りだった」と振り返る。 開港後しばらくは航空機の発着回数や利用者が増えたものの、米中枢同時