期末試験を目前に控えているというのに、家にいると集中力をこれっぽっちも発揮できないわたしは、近くのカフェで勉強することにした。ネットやファッション誌の誘惑から自由となり、しばらくは順調に問題を解きすすめていた。でも、所詮は安いフランチャイズ型のカフェだけあって、席と席との距離が近いので隣りの会話が耳にはいってくる。 ぼんやり店内を眺めていると、隣に座っていた若い男性がSTAFFルームから出てきた私服の女性を呼び止め、少し話をしようと言って彼女を座らせた。聴き漏れてくる会話の内容から推測するに、このカフェで働いているバイトの大学生同士らしい。髪を短く切りそろえた男性は先輩で、茶髪でロングの女性はこの店のバイトを始めて間もない様子。二人は同じ時間に勤務することがあまりなく、一対一で会話するのもこれが初めてのようだった。男性は軽い調子で彼女に今度職場の飲み会やるからおいでよと誘ったが、仲の良い人