宮城県石巻市のタクシー運転手が語る「幽霊」現象をとりあげた学生の論文が反響を呼んだことを受けて、東北学院大(仙台市)は24日、「霊性を読み解く」と題した緊急シンポジウムを開いた。震災から5年、人々は多くの死にどう向き合ってきたか。宗教の役割は。識者らが論じあった。 「幽霊」の論文は、同大4年で社会学ゼミの工藤優花さんが調査、執筆。他の学生の論文とともに「呼び覚まされる霊性の震災学」の題で新曜社(東京)から出版された。1月20日付朝日新聞宮城版の記事などをきっかけに、ネット上で大きな話題となり、海外でも報じられた。 工藤さんはシンポジウムで、幽霊を乗せたタクシー運転手らが、恐怖心ではなく、畏敬(いけい)の念を持つようになった背景を説明。「震災を過去のことととらえ、復興に挑む人がいる一方で、前を向ききれず心が追いつかない人がいる。そうしたグレーゾーンを抱えた心が幽霊現象に反映しているのでは」と