東日本大震災で74人以上の生徒が津波に呑まれた、石巻市の大川小学校の惨事について、19日、検証委員会の報告が発表された。ちょうど1週間前、私を含めた国際政治を専門とする研究者たちは、その小学校跡を訪れたところだ。 なぜ、中東研究の私が被災地を視察するのか、疑問に思われるだろう。だが、震災も戦争も、当たり前の日常社会が根本からひっくり返されてしまうという点でよく似ているし、災厄からの復興に際して直面する障害にも、いろいろな意味で共通点がある。 私たちは極寒のなか、大川小学校を訪れたのはほんの一時間程度だったが、崩壊した学校を前に遺族の話を聞くにつれて、情けなさでいっぱいになった。生徒たちは、地震直後に校庭に集められた後、51分の間なにも行動を起こせないまま、いよいよ津波が来るという時になってようやく移動を開始し、ほとんどの生徒が波に呑まれたのだという。生徒のなかには、校庭に隣接する山に逃げよ