かぐや姫は日本最古の物語といわれる「竹取物語」の主人公。誰もが知るように、光る竹から生まれ、翁(おきな)と媼(おうな)に育てられ、最後は月に帰っていく。おとぎ話の典型的なお姫様だ。 そのヒロインを生身の人間として造形しようという高畑勲監督の独創に驚かされる。 かぐや姫はなぜ、地球に来て、月に帰らなければならなかったのか。原作には「なぜ?」に対する明確な答えは見当たらない。それらしい描写があるものの、高畑監督は納得いかなかったようだ。 腑(ふ)に落ちないのは、かぐや姫の気持ちの推移が描かれていないから。本当のように思える物語を創造し、アニメーション映画化する作業の肝は、主人公の心をとらえることにあったのだろう。 そのすべての原点となる、前半の山里の描写が素晴らしい。赤ん坊がみるみる成長していくのを、しなやかな動きで見せる。けらけら笑う幼子と彼女の成長を見守る翁と媼の幸福感はこの上ない。少女に
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