私はよく時計を見る。 私はよくカレンダーを見る。 時間や日付や曜日を確認する。 今はいったい何時か。あの約束は何日か。 10年前。 私はたしかに違う街に居たはずだ。 2ヶ月間、さまざまを見聞きして、さまよい、考えていたはずだ。 10年前の出来事。 今となっては確証は無い。 10年前に作った作品に聞いてみる。 10年前の写真を見て、10年前の風景を描いてみる。 時の観念とは本当のところなんなのか。 人間の決めた便利な発明?それとも不便な足かせ? 過去と未来、その境目に立つ現在。 生きれば生きるほど、より一層不可思議な感覚が私をとらえていく。 10年前。 多分この世に生まれていなかった子供たちが、冬の寒い公園で走りまわっている。 10年後。 この子供たちは、寒い公園で走り回った現在を、覚えているのだろうか。