図書館から遠い地域を、本を積んだ小型バスなどで巡回する「移動図書館」が、全国的に減少している。背景には、利用の低迷や自治体の厳しい財政状況などがある。赤穂市でも今月末で三十六年の歴史に幕を下ろす。代替策として、宅配便を活用した図書の貸し出しを巡回地域の一部で始めるが、利用者からは「周辺地域の福祉、文化の切り捨てにつながる」などと厳しい声も出ている。(赤穂支局・山本哲志) 五月下旬、赤穂市北部の集会所前に同市立図書館の移動図書館「ちどり号」が到着した。待ちかねたように親子連れや高齢者が集まり、目当ての本を探す。 月に一度のおなじみの光景だが、それも次回が最後。十年以上欠かさず利用してきたという男性(70)は「本に接する機会が減ってしまう」と惜しんだ。 同市内では、一九七一年に移動図書館の巡回が始まり、子どもや高齢者らに親しまれてきた。 一方で、近年の貸出数はピーク時の六分の一近くに落ち込み、