教科書以外の本を手にしたことのない村の子供たち 現役を引退し、気持ちに「ゆとり」ができたのだろう。これまで気にもしていなかった、村の子供たちが学校や家でどんな本を子供時代に読んでいるのだろう、と関心が湧いた。 その契機となったのは、中部スラウェシのBulili村での、巨石遺跡を案内してくれた子供たちの笑顔や古いものへの関心だった。数日後に、あらためて時間を割いて子供たちが通う小学校の「図書室」を見学させてもらった。授業中の先生たちも皆さん集まってきて、交流集会のような様相となったが、この村の学校図書室に並んでいた教科書はすでに10年ほど前のものであったし、幼児書、児童書とよべるものはゼロで、数冊の世界地図と学習参考書が学校全体としてあるだけだった。家に、幼児書、児童書を持っている子供たちとは出会えなかった。 首都ジャカルタに戻った際に、国立図書館に勤務する知人たちに頼んで、保存書庫と、別の
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