その形をまだ見たことがない人に、どう表現すればこの形が伝わるだろうか。 なめらかな曲線をした、大きな深いお皿を、うつ伏せに置いたような形の建造物で、その中に、まるでどら焼きの中に入るかのように、人が入ることができるもの。こんな感じ?? 四国に行く用事があったので、帰りに瀬戸内海に浮かぶ小島、豊島(てしま)にある豊島美術館に寄ってみた。 少し変わった美術館で、展示されているのはさきほど紹介したような形の建造物というか、オブジェというか、そういうコンクリートの物体のみ。中の空間は想像したよりもずっと大きくて、ミニサッカーくらいできるんじゃないか、というくらいの広さだった。 どの方向を向いても、非日常的な、ミニマムな光景が目に飛び込んでくる。どの向きに写真を撮っても絵になる空間。 入り口から建物の中に入ると、すでに中にいる人たちが数人いて、その人たちがまた作品の一部のようだった。灰色の広い空間の