理性的だけど熱血なヨル。少し臆病だけどお人好しなネル。親友であるふたりは、あるとき身長わずか11センチのこびとになってしまい、生体科学研究所にモルモットとして強制収容された。かつては普通の小学生だった彼らは研究所から脱走し、無人の家に忍び込んだり野宿をしたりしながら逃亡を続けることに。 あてどない旅は、身体が縮んでしまったからこその喜びと驚きと困難に満ちている。猫の背中にしがみついて移動しながら〈ネルお茶でもしよう……猫カフェだ!〉と言い、駅のホームにあった忘れ物のケーキを見つけたときには〈今夜はホームパーティーだ!!〉。そんな脱力系のギャグが多数。 だが、物語はほのぼのでは終わらない。彼らは南の海を目指して進む。海に意味があるわけではないが、目的地があれば、旅を終わらせることができるからだ。本年度屈指の怒濤のラストは必読。 『ヨルとネル』(全1巻) 施川ユウキ 「こびと狩り」から逃げる少