ナショナルシアターライブ「善き人」を見られたので感想です。 ドイツ人教授・ジョンは認知症の母の世話や家事能力に問題のある妻との暮らしに辟易しユダヤ人医師である親友モーリスに相談しながらも「善良で知的な」ドイツ人として暮らしている。しかし安楽死について書いた小説をナチス高官に気に入られたことからナチスに取り込まれていく。 ナチスが台頭しはじめた頃、ジョンははっきりと「ナチスは支持しない」と言い、親友モーリスの不安にも「考えすぎだ、ユダヤ人の排除なんて馬鹿馬鹿しい政策が実現されるはずがない」と取り合おうとしなかった。しかし小説を評価されたことが彼の自尊心をくすぐり、「家族のより良い暮らしのために」「自分のような人間が入党することでナチスの暴走を止められるかもしれない」なんて言いながらナチスに入党し、あっという間に出世してSSにまでなってしまう。若い女生徒アンと不倫関係に陥った罪悪感は徐々に麻痺