環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題が再び動き出す。自由貿易の推進と、その前提になる農業強化の両立には農協(JA)の改革がカギを握る。 日本農業を支えてきた農協の今を検証する。 「TPP交渉参加 断固反対」――。 雪景色が広がる岩手県花巻市。選挙運動用のたすきやハチマキを作る印刷業の「小彌太(こやた)」は昨秋、時ならぬ「TPP景気」に沸いた。各地からTPP反対運動用商品の発注が相次いだ。発注元は地元や北海道の農協だ。 全国農業協同組合中央会(JA全中)は昨年12月、「TPP交渉参加反対1000万人署名全国運動」の展開を決めた。茂木守全中会長も年頭あいさつで、今年の課題の第一にTPPへの対応を掲げ「毅然(きぜん)たる対応が必要」と檄(げき)を飛ばした。JAは組織を挙げた運動を始めている。 JAグループは過去にも1990年代のコメ自由化や、日豪、日米の自由貿易協定(FTA)などに反対し、