憲法12条は、憲法が保障する自由及び権利について、国民はこれを「公共の福祉」のために利用する責任を負う、というように規定している。この「公共の福祉」という言葉を、自民党の改憲草案(2012年4月27日付)は「公益および公の秩序」と言い換えようという。13条についても29条についても、やはり同様である。なぜか22条については現行の「公共の福祉に反しない限り」という言葉を削って無条件的保障の形にしているが、その代わり(?) 21条の表現の自由のところに「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」とする規定を付け加えている。 さて、現行憲法の「公共の福祉」という言葉は、憲法上の自由や権利を制限する根拠とされてきたが、これについて、国連の規約人権委員会はこれまで再三にわたり、日本政府に対して、そのようなあいまいで抽象的な規定による人権