《産み、育てやすい社会環境に欠かせない保育所。喫緊の課題は待機児童で、国や自治体は「量」の確保を急ぐ。そこで民間を活用しようとすると、同時に「質」の低下を懸念する声が聞こえてくる。本当に「民より公」なのか。そもそも「保育の質」って何? 現場を訪ねた》 「目が行き届くの?」「保育内容が変わると子どもが混乱しそう」…。2011年、福岡市直営だった認可保育所「大井保育園」が社会福祉法人に移管される際、親に不安が広がった。 04年に公立保育所の運営費が一般財源化され、予算削減による民営化が加速する。福岡市も21施設のうち11施設を社会福祉法人に移管。保育士は公務員でなくなり、保育内容は法人ごとに検討されるようになった。 実際に移管して親はどう感じたのか。民営化前から長女を通わせる母親(46)は「楽器を使った活動など、民間ならではの柔軟性や個性もあっていいですね」と不満はなさそう。園側も不安を解消し