この記事は、2019年10月に発売され高評価を得た『Disco Elysium』という英語のゲームが題材です。その難解で膨大な内容にも関わらず、編集部員が気軽に「やる?」とライターに投げたことにより起きた受難の旅、ライターの長大な思考の旅路を、本稿では記しています。 「酒を飲まない者を信用するな。やつらはたいてい、自分は正義を知っている、自分は正しいことと間違っていることをいつでも見分けられる、と思っている。ふだんは良いやつらだ、しかし正しさ優しさの名のもとに、この世のほとんどの苦しみをもたらしたのもやつらなんだ。やつらは判事で、野次馬だ。そして酒をたしなみはするが、芯から酔っぱらうことを厭う者を信用するな。やつらがそうするのは、いつも腹のうちで、自分が馬鹿か、臆病者か、卑怯者か、乱暴者なんじゃないかと怖れているからだ。自分自身を怖れているような人間を信用するなんて、できないだろう。しかし