1996年10月、アーセナルのアーセン・ヴェンゲル招聘は、まさに仰天の引き抜きだった。 1981年にストラスブールのユースチームで監督キャリアをスタートさせたヴェンゲルは、ナンシーとモナコの監督を歴任した後に、1995年からは名古屋グランパスの指揮官に就任。1年目で年間総合順位3位(2ステージ制)に導き、最優秀監督賞を手にすると、天皇杯も制してクラブに初タイトルをもたらした。 翌シーズン(1ステージ制)にもリーグ戦で2位フィニッシュと見事な手腕を発揮し、日本サッカー界で確かな功績を残したヴェンゲル。そんな東洋の島国で声価を高めたフランス人監督に声をかけたのが、アーセナルだった。 しかし、当時は現代のようにインターネットが発展していない時代で、いまほど簡単に情報を入手できるわけではなかった。それゆえにアーセナルからの引き抜きに「驚いた」と語るのは、他でもないヴェンゲルである。現地時間11月2