意識を宿す脳は、すこしばかり手のこんだ電気回路にすぎない。であれば、脳の電気回路としての振る舞いを機械に再現することで、そこにも意識が宿るに違いない。多くの神経科学者はそう考えている。 問題は、ヒトの意識のコンピュータへの移植、いわゆる「意識のアップロード」である。仮にそれがかなえば、ヒトが仮想現実のなかで生き続けることも、アバターをとおして現世に舞い降りることも可能になる。どちらを選択しても、生体要素が一切排除されるため、死が強制されることもない。 はたして意識のアップロードは原理的に可能か? その技術的目処は立っているのか? まずは、その意味合いと存在意義に迫る連載第一弾をお届けしたい。 ご愛読、誠にありがとうございました。 本連載(全8回)は、大幅加筆のうえ、再構成し、2024年6月、 『意識の脳科学――「デジタル不老不死」の扉を開く』(講談社現代新書)として刊行されました。 自らを
![ヒトの意識をコンピュータへ移植することはできるか?(渡辺 正峰)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b09e495702d103228ccd0139775154c2caa055b1/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fd%2F2%2F1200m%2Fimg_d260f05401d447d7322311d822d6e279169081.jpg)