MF文庫Jから出版された新作ライトノベル小説。濃密で要素の多い物語なので一言でジャンルを説明するのもなかなか難しいのですが、ピックアップするなら「異世界ファンタジー」「青春小説」あたりでしょうか。 民族の神話や遺物・国際情勢など、奥行きのある「設定」を楽しめる作品で、独特の論理で繰り広げられる破天荒なバトル描写も魅力です。種族差別が横行する社会の残酷さ・複雑さとそれに向き合う姿勢をかなりストレートに描いていたり、「言葉」や「名づけ」が重要なキーワードになっていたり、血と臓物まみれの悪夢の描写が強烈なビジュアルイメージとなっていたりと、要素要素でも印象的なモチーフが多いですね。 そんな多岐にわたる要素が徐々に噛み合っていき、登場人物たちの抱える願い、祈り、切実な決断や心打たれる言葉へと収束していくクライマックスは圧巻。没入したまま読み終わり、本を閉じて虚空を見つめ、しばらくしてはーっとため息
![揺れ動く心の形に名前をつける。作り込まれた世界と叙情溢れる青春ファンタジー『祈る神の名を知らず、願う心の形も見えず、それでも月は夜空に昇る』 - 魔王14歳の幸福な電波](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/c669e84a6036e35e9c177c3d0a8553836a573ca4/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51MfiaPRAUS._SL500_.jpg)