いまや当たり前になった感のあるシステム業務のアウトソーシング。そのかたわらで,「外注化により,設計開発や運用管理といった実務経験を積めない」と危機感を感じるユーザー企業の若手エンジニアが増えている。 「“1人ひとりのスキルを高めて,仕事の品質を上げよう”,か」。オフィスの壁からはがれかけた標語を見て,B君(25歳)はため息をついた。B君が化学メーカーG社に入社して,3年が過ぎた。入社後,久しぶりの新人としてシステム部に配属が決まった時は「この先,企業にとってITの重要性はますます高まる。最新技術を身に付けておけば,将来必ず役立つ」と喜んだものだった。しかし,仕事に慣れてくるに従い,理想と現実のギャップに気付き始めた。 G社はB君が入社する5年前,他社に先駆けてシステム業務のアウトソーシングに踏み切った。設計や開発,運用といった業務のほとんどをSIベンダーのQ社に委託し,企画機能だけを社内に
![Vol.42 ベンダー任せで スキルを継承せず 若手を不安に陥れる](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/bed39b5962a5d552c95b6d796db8f55e72d32943/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fxtech.nikkei.com%2Fimages%2Fn%2Fxtech%2F2020%2Fogp_nikkeixtech_hexagon.jpg%3F20220512)