ごく親しい人との写真やプライベートな写真だけを集めた写真集を10年くらい前から不定期に作っていた。 引っ越しだとか転職、パートナーとの関係が変わったような節目に合わせて、それまで撮っていた写真をまとめた自分のためだけの写真集。もちろん販売はしないし、それこそ自分用に1冊だけ作っていた高コストな冊子。 STILL LIFEという名前を与えたこのシリーズは、再現性のない一瞬をどうにか捉えようという趣旨で作っていた。大袈裟にいえばその場限り、その瞬間かぎりの寸劇のような写真集。 子供が生まれたあとあまりの忙しさと余裕のなさで2018年を最後にやめてしまったのだけれど、昔の写真を眺めていると20代後半の頃に接続していた社会や人間関係、感情的もしくは性的な繋がりや指先で辛うじて捕まえていたあやふやな希望のようなものからすっかり離れてしまったことに気が付き、写真集をペラペラめくりながらとても複雑な心境