僕が彼女と最初に出会ったのは深夜、コンビニ帰りのことでした。 オートロックのマンションのエレベーターという密室に見知らぬ男女がふたりきり。 更には降りた階が一緒ということもあり、最初はご多分に漏れず気まずい雰囲気になりましたが、いざ鍵を取り出し室内に入ろうとしたとき、彼女の方から、 「お隣の方だったんですね」 「あ、はい。山田(仮)と申します」 「佐藤(仮)です。お隣の方とは知らず、申し訳ありませんでした」 そう安心したように声をかけられ、顔見知りとなった以後はたまにマンションの共有部で顔を合わせては挨拶と軽い会話をする程度の仲になりました。 そんな出会いから半年ほど経ったころでしょうか。 マンションの入口、オートロックのガラス扉の前に佇む佐藤さんに出会いました。 「すいません。実は部屋の鍵を忘れて外に出てしまったようで、顔見知りの方が通りかかるのを待っていたんです。一緒に入らせてもらって
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